2017年10月4日

全体的には治療者向けだが、自分自身、あるいは家族・友人が境界性人格障害という人も読む価値は充分にある! 『境界性人格障害のすべて』から (1)


境界性人格障害を、以下、疾患名の略語であるBPDと記す。

BPDに関する詳しい説明は本書を読むか、Wikipediaでも参照してもらうとして、ここでは、この本に書いてあったことで印象深かったことを記す。

BPDの人には、完璧主義者が多いが、逆に積み上げてきたものを一気に手放す傾向もある。それは、BPDの特徴である「理想化とこき下ろし」という態度と根底は同じである。本書の例え話で分かりやすかったのは、
足を痛めた人がそうするように、BPDの人たちは足を引きずって歩くことを学ばなくてはいけません。ベッドに横たわったままの状態では、筋肉が委縮して収斂してしまいますし、逆に運動が激しすぎれば、傷ついた足をいっそう悪化させてしまいます。そのかわりに、足を引きずりながら、体重をかけすぎないように痛めた足をいたわりながら、徐々に力をつけていかなくてはいけません。BPDの治療についてもそれと同じように、力のかけ方を配慮しながら前に向かっていく姿勢が大切です。
という部分。できるところまでは徹底的にやり、それができないのなら、すべて放棄する。その極端な思考を少しずつ変えていくことこそが大切なのだ。このことは別の例え話でもしてある。
自分につける成績に、「優」か、そうでなければ「不可」の、どちらかしか選ばないのです。(中略)配られたカードでプレーするのを嫌がるBPDの人たちは、毎回パスを宣言して掛け金を失いながら、いつかはエースが四枚揃うチャンスを待っています。確実な勝利が保証されなければ、配られた手札でプレーをしようとは考えません。状況が前向きに変わり始めるのは、上手にプレーすれば勝つこともできるのだと気がついて、自分の手札を受け入れられるようになったときなのです。

今回はここまで。

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