2017年7月13日

転院するときの紹介状は「おまじない」

患者が遠方へ転居するときに紹介状を作成する場合、最後のほうに「クラシック音楽を愛好されています」「植物好きで穏やかなかたです」「太郎というビーグルを飼って可愛がっておれれます」などの情報も書いておく。たとえ短くても、なるべくそういうことを加えるようにしている。

これは「転院先でもよくみてもらえますように」という祈りを込めた「おまじない」である。

紹介状にこういう一文があるだけで、受け取った医師はその人の日ごろの生活や前医との関係、前の病院の診察室での雰囲気を感じることができる。そして、ちょっとだけ「初診患者への親しみ」みたいなものが芽生える、かもしれない。少なくとも自分なら、そうなると思う。まだそんな紹介状をもらったことはないが……。

このおまじないは、「薬は飲んでいますか?」「眠れていますか」「ごはん食べていますか?」という話だけをしていてもできず、普段の診察で「病気以外の話」をどれだけしてこれたかが問われる。

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