2017年4月20日

ハードボイルドな新選組 『黒龍の柩』


新選組副長の土方歳三を主人公にした歴史(伝奇)小説。ラノベほどではないが、わりと会話文が多かった。その会話のやりとりで巧みにキャラづけされていくのは、さすがベテラン小説家。しかし、一部だれとだれの会話か分からなくなるところがあったのも否めない。

カッコに伝奇と入れたのは、明らかに史実ではないと思われる部分、作者の想像力によって描かれた対決もかなり入っていたから。もともと司馬遼太郎の小説のようなものを期待して読んだわけではないので、こういう空想エピソードは大歓迎である。

最後の将軍・徳川慶喜の人物描写は好意的だった。これは、慶喜びいきの読者には嬉しい。近藤勇については若干手厳しい。主人公の土方歳三は、他書ほど才気走った描かれかたはされていない。土方ファンとしては、ちょっと物足りないようにも感じられた。

結末の評価は人それぞれかもしれないが、読後感は良かった。ただ、ハードボイルド作家だからか、全体的にドライである。浅田次郎が描くようなジメジメとしていてこころにグッとくる新選組を期待していると肩透かしをくらうだろう。

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