2017年3月3日

研修医の誤診と、その診療を見逃したことにヒヤリとした話

もともと大酒家の60歳男性が、酒をやめた数日後からボーっとなったということで総合外来を受診。診察した研修医は採血や頭部CTで異常がないことを確認し、「若年性アルツハイマー病」と診断して、治療薬アリセプトを開始した。

これはおそらく誤診で、正確な診断は「アルコール離脱せん妄」だったはずだ。

この患者は、それから半年後に精神科を受診し、そこでこの誤診発覚となった(認知症はなく、重いアルコール依存症だった)。当時の研修医記録と検査結果をみると、頭部CTで脳の委縮はほとんどなく、また研修医はHDS-R(簡易認知症検査)も、箱や時計の描画検査もしていなかった。もしかすると「検査は行なったがカルテ記載をしていなかった」のかもしれないが、カルテに記載していない検査は行なっていないのと同じである。

さて、研修医が誤診したとしても、それは責められるべき話ではない。最大の問題は、この研修医のカルテを「誰もチェックしていなかった」ということだ。通常、研修医の診察の後には、指導医がチェックして「上記カルテを承認した」と書くのだが、今回はそれがなされていなかった。

この原因が「研修医の独断専行」だったのか、「指導医の怠慢」だったのか分からないが、同じ病院で勤務する精神科医としては、ヒヤリとするケースであった。

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