2016年10月31日

「数学者のイギリス滞在記」というより、数学者がイギリスでの生活で考えたあれこれのこと 『遥かなるケンブリッジ』


数学者・藤原正彦が、イギリスのケンブリッジ大学に1年間留学した時の滞在記。今回は妻と3人の子どもを連れての留学である。

アメリカ留学は単身だったのに対し、家族を伴っての留学では、自分のことだけでなく、妻や子どものことも悩みの種になる。特に次男がイジメを受けたエピソードでは、思わずこちらの胸が締めつけられるようだった。そんな次男が日本の幼稚園の同級生からもらった手紙の引用に、次男の哀れさと切なさとで目頭が熱くなってしまった。

藤原正彦による滞在記なので、単なる日記ではなく、日本やイギリスの文化について、それから自らの家族観についてなど、読みやすくて味わい深い文章で綴ってある。非常に魅力的な一冊で、同氏の本だけでなく心理学者である奥さまの書かれた本も追加購入してしまった。

<関連>
これは数学者による『深夜特急』だ! 『若き数学者のアメリカ』

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。