2015年4月30日

クラウドクラスターの愛し方


『ふがいない僕は空を見た』が非常に印象的だった窪美澄(くぼ・みすみ)だが、本書もとっても良かった。ドラマチックなことが起きるわけでもないし、クライマックスというほどの何かがあるわけでもないのに、なぜだか惹きつけられてあっという間に読み終わる。まぁ、文章量が少ないというのもあるんだけれど。淡々と内面を描いていく感じ、好きだなぁ。

2015年4月28日

電話ごっこ

サクラがおもちゃの電話で遊ぶのが面白い。一人で誰かにかけるふりをして、
「うん、うん」
なんてことを言っている。その姿が微笑ましくて、黙って見ていたら、俺のほうにその電話を差し出して、
「パパも」
と促された。そこで俺は、
「じゃ、アンパンマンにかけてみようか」
そう言ってダイヤルを押して耳にあてた。
「あ、もしもし、アンパンマンですか? はじめまして、……はい、いえいえ、こちらこそお世話になっております。……あっ、今ですか? 長女のサクラと一緒です。……、はい、あ、かわりますね」
そうして渡された電話に向かってサクラは、
「もしもし、こんにちは、サクラちゃんです。アンパンマンですか? 

……、

アンパンちょうだーい!」

思わず吹き出してしまった。

面白いので、次は妻にかけてみる。
「今度はママにかけるよ……、もしもし、うん、俺だよ。今ね、サクラと一緒にいるんだけど……、うん、かわろうか?」
はいどうぞ、とサクラに電話を渡す。受け取ったサクラは、
「もしもし? ママ? うん……、うん……、へぇ、そうなんだ。

じゃあねぇ、

またねぇ、

おつかれー!」


これにも笑ってしまった。

子どもって親のいろいろな仕草をちゃんと見ているものだね。

2015年4月27日

製薬会社からもらうボールペンに、実は多くの医師が影響を受けている 『怖くて飲めない! 薬を売るために病気はつくられる』

製薬会社の人からボールペンや卓上カレンダー、時には卓上時計、USBなどの販促品をもらうことがある。それらにはすべて、それぞれの会社が販売・宣伝している薬の名前が書いてある。

こんなものをもらったところで、自分の処方には影響がない。

多くの医師がそう思っている。そして、

こんなものをもらったら、自分以外の医師はけっこう影響を受けるだろう。

これも多くの医師がそう思っている。

上記はアメリカで医師を対象とした研究調査で分かったことだが、日本では実際のところどうなのだろう。

実を言えば、俺は確かに影響を受けている。ただし、自分の専門外に関してである。抗うつ薬や抗精神病薬、睡眠薬などをいくら宣伝されたところで、自分なりの判断には影響を与えない。ところが、精神科でも高血圧や高脂血症の薬や胃薬などを処方することがあり、こういう時、「どんな薬があるんだったっけ?」と考えて思いだしやすいのが、ボールペンや卓上カレンダーに書かれている薬の名前である。

製薬会社のMRさんは、たいていの場合、売り込みたい薬をよく使う専門科の医師をメインターゲットにして宣伝するが、実のところそれはあまり処方に影響を与えていないのではかなろうか。それよりは、処方機会が少しだけある科の医師に宣伝するほうが「現場で思いだしてもらえる」効果は高いはずだ。たとえば抗うつ薬を処方する精神科以外の先生はけっこういるが、俺の周りではパキシルの一人勝ち状態である。こういう先生たちにこそ、例えばレクサプロを売り込んでみるほうが有効だと思う。

自分の専門分野で、販促品や接待に影響されている医師がまったくいないわけでもないだろう。そういう医師は三流だとまでは言わないにしても、まともでないことは確かだ。ちなみに俺は卓上カレンダーを置かないし、ボールペンは自分で買ったものしか使わないし、診察室に関しては専門外どころか精神科薬の名前の入った販促品すら置いていない。そんな俺でも、研修医の時にもらって愛用していたボールペンに書かれていた「リピトール」(高脂血症の薬)は今でも忘れられない。製薬会社による販促品の影響とはそういうものだ。


薬をすべて否定するのはトンデモ論だと思うが、反対にすべての薬を礼讃するのもトンデモな話である。この本はそのあたりのバランスが非常にうまくとれた良書だった。薬嫌いも薬好きも、読んでおいて損はない一冊。

2015年4月24日

医学部講義


神田橋先生が九大医学部でされた講義を文章化したもの。

精神科医になる人なんて数人しかいない医学部学生向けの講義なので、精神科の専門的な話というより、もっと医療全般に通じるような根本的な内容が語られる。

精神療法というのは、身体科の医師でも、意識するかしないかの差はあれど、診察室でも病棟でも大なり小なり行なっているもので、だからこそ精神科以外の医師にこそ読んでみて欲しい本であり、読んで決して損はしない内容だと思う。

2015年4月23日

精神科医の観察は時に探偵のごとくあらねばならない 『シャーロック・ホームズの冒険』‏

ある日、母に連れられて診察室を訪れた新患の若い男性。母が記入した問診票には「様子が変」としか書かれていない。

パッと見た目は全体的にルーズというか、だらしがない。かなり明るめの茶髪はぼさぼさ、服のボタンは中途半端にとめられて、その上からところどころ薄汚れた黒いベストを着ている。ズボンはよれよれ、ブーツもくたくたで紐の結びかたが粗雑。さらに細かく見れば、髪は根本から数センチが黒くなっている。ベストは有名なブランドロゴが小さく入った若者向け。シャツも洒落た感じだ。ズボンもわりと形の良いカーゴパンツ。ブーツも雑誌に載っていそうな流行ものだ。

こうしたことから、本来はオシャレなのに、この2-3ヶ月はオシャレに手が回っていないのだろうと思えた。また机に両肘をついてかったるそうにするなど、態度もぞんざいであった。

本人への問診を終えて、母だけを診察室に残し、
「息子さん、本当はオシャレなんじゃないですか?」
母に問うと、
「そうなんです」
と頷いた。
「でも、この2-3ヶ月はオシャレにも無関心なんじゃないですか?」
「そうそう、そうなんですよ!」
「もしかして、普段はもっと礼儀正しい?」
「えぇ、こんなんじゃないです」

毎回こんなに観察がうまくいくわけではないし、「黙って座ればピタリと当たる」みたいな魔術めいたことは、患者に対して「お見通しだぞ」といった恐怖や不安を与えるのでしないほうが良いとも言われている。

彼の診断は、おそらく2-3ヶ月前に発症した統合失調症。薬を処方した2週後の外来では、根元まで染まった茶髪をきちっとセットし、若者らしいファッションをバリっと着こんだ青年がやってきた。これで一件落着、ではなく、ここはまだ「医療-彼・家族-病気」の三角関係で進んでいくデコボコ道の出発点である。

ところで、精神科医が観察対象とするのは会話の内容だけでない。患者の言葉遣い、語調、喋っている時と黙っている時それぞれの表情、仕草、服装、におい、本人が喋る時の付き添い家族の様子、それから患者と接した時の自分自身の心の動き(これが意外に重要)といったことまでを、診察室に呼び入れる時から、場合によっては診察室で待っている間(座って待てずに立ってウロウロするなど)もみている。精神科医が何をみているか知らない人からすると、ちょっと驚きではなかろうか。

「きみはあの娘について、ぼくの目には見えなかったことをずいぶんと読みとったようだね」
「きみに見えなかったんじゃなくて、注意が足りなかったんだよ、ワトスン。どこを見るべきかを知らないから、大事なところをみな見落としてしまうんだ」

ホームズの作者アーサー・コナン・ドイルは実は医師であった。だからだろう、ホームズの言葉には医師としても役に立つ凄い教訓がこめられている。この歳になって初めて読むホームズだが、これからこの全集を少しずつ集めて読み進めていこうと思う。

翻訳は他にもいろいろなものがあり、他の訳は読んだことがないので分からないが、本書は日本語に違和感がなく充分に楽しめた。ホームズ初心者にお勧めというネット評を読んで買ったのだが正解だったと思う。

まつ毛が長い次女ユウ

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平成26年8月に撮った写真で、生後2ヶ月くらい。今ではまつ毛もさらに長くなり、切れ長二重の瞳との相乗効果で目もと美人である。

2015年4月22日

おとなの小論文教室。


ブログを続けてきて、「書く」ということについて考えようと思い立って、何冊か買ってみたうちの一冊だが、Amazonレビューの星1つと2つの人の意見がかなり俺の評価に近い。ネットに掲載された短文をまとめたものは、やはり本としては面白くないということだろう。

本書に高評価をつけている人の多くは、普段どんな読書をしているのだろうという疑問がわいて、チラッとだけレビューを読んでみて納得。ネットの小文を読むことが多い人たちなんだな。このブログもそうだが、ネット小文というのは一冊にまとめてみたところで、小文の寄せ集め程度にしかならず、本としての魅力はほとんどない。これは雑誌に連載されているエッセイにも似たようなことが言える。

2015年4月21日

運は数学にまかせなさい - 確率・統計に学ぶ処世術


このての本を読むのはもう何冊目だろうか。そろそろ打ち止めにしても良い気がするが、それでも読むたび毎回のように統計や確率に関する無知が招くリスクを思い知らされる。半分は自分の楽しみのために読むのだが、心の半分では、病院で患者や家族に説明する時に必要な統計や確率をうまく説明するためのヒントを探している。
Amazonのレビュー平均点どおり、面白い本だった。

2015年4月17日

幼稚園スタート!

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平成27年4月13日、入園式があったので、午前中は休みをもらって出席した。みんなとうまく馴染めるか、式の間は落ち着いて過ごせるか、あれこれ不安はあったのだが、それらはすべて杞憂であった。18人の同級生の中には、立って歩きまわったり、大きな声で泣いてしまったりといろいろな子がいたが、サクラは落ち着いて座り続けていた。時どき、俺と妻のほうを見て笑顔をつくっていたのはご愛嬌。

4月15日が初の登園だった。サクラはすごく臆病なのでどんな感じになるか不安だったが、まったく抵抗なくすんなりと行ったらしい。しかも、帰りは一番最後まで残って遊んでいたそうだ。こういうところの適応力は、きっと妻譲りだな(笑)

どうやら、サクラにとって幼稚園はすごく良い場になりそうだ。

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題


タイトルに魅かれて買ったのだが……、初出がブログ(ジェーン・スーは日本人です。)というのが多かった。飛ばし読みしたけれど、うーん、アマゾンの☆で言えば1と2のコメントが俺の気持ちに近い。
ちょっとクスッと笑えた部分もあったが、本でなくブログを読めば良いのかなという感じ。

2015年4月15日

おもいでエマノン


生命が誕生してから30数億年。脈々と続く生命の全記憶を受け継ぎながら生まれかわる少女・エマノン(もちろん太古の昔、人類登場以前には恐竜や魚ということもある)を軸に、彼女に関わるさまざまな人たちを描くSF短編集。読んでいると、自分の先祖の先祖のずっと先にいたはずの、変な生き物や名もなき微生物に対する尊崇の念がわいてくる不思議な本。

世の中には、俺の知らない『俺好みの面白い小説を書く作家』がまだまだたくさんいるんだなと痛感した一冊。

2015年4月13日

診察室では正直に言っちゃってください!

「妻が変なことを言うから入院させて欲しい」

ある女性患者の夫がそう言って診察室にやってきた。患者は「入院なんてとんでもない」といった態度で、「夫のほうが変なんです」と訴える。

「変なことを言うから」という理由で強制入院させるわけにもいかない。そこで夫に具体的な内容を尋ねるのだが……。

俺「たとえばどんなことを仰るんです?」
夫「ありもしないことです」
俺「具体的には?」
夫「ひどいもんです」
俺「その内容を知りたいんですが……」
夫「あぁ、内容ですか。そりゃもう、ありもしない、ひどいことを言うんです」
俺「えーっと……」

こういう感じで一向に具体的な話が見えてこない。そんなやり取りをするうちに、黙って聞いていた妻のほうが痺れをきらして、

「あんたが人を殺してまわるから悪いんだ! あんたが目からバイ菌をビームみたいに出すから、怖くて家を追い出したんじゃないか!」

と怒り出した。この言葉を聞いた瞬間、入院治療という方針を決めた。

身内が変な言動をとるという理由で、初めて精神科の診察室にやってきた家族の中には、その言動の具体的内容を語ることに気が引けている人も多い。「こんなにバカげたことをしたり言ったりする人がいるなんて、きっと医者には信じてもらえないだろう」という考えなのか、それとも「あまりに荒唐無稽すぎて他人に話すのが恥ずかしい」という気持ちなのか、はたまたすでに疲れきって面倒になっているのか。

患者家族の「いつもと違う」「様子がおかしい」「なにか変だ」という感覚はとても大切だが、やはり診断や治療方針の決定には「具体的内容」が必要である。

だからどうか、患者を診察室につれてくる家族の皆さんは、臆することなく面倒がらずに、患者の行動や会話の中身を具体的に、つまり、ありのままお伝えください。

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ミナト・シリーズの4作目。ミステリとホラーとサイエンスものをかけあわせた欲張りで、かつ一定のクオリティを保ち続けているラノベ。

2015年4月10日

友達の数は何人? ダンバー数とつながりの進化心理学


進化心理学という分野が面白そうだったので読んでみた。

興味深い話、研究結果の紹介はたくさんあった。
たとえば男性より女性のほうが色覚に敏感だという話。これは男性が赤、青、緑という三色視であるのに対して、女性が四色視、中には五色視をしている人もいるそうで、なるほど確かに女性のほうが服の色の組み合わせや化粧のわずかな違いに気づきやすく、またこだわりも強いことが多い。著者のダンバー教授も読者に対して率直に、
「外出のしたくが遅い妻にいらいらしたことはないだろうか?」
と問いかけている。これを書きながらふと思ったのだが、この問いは明らかに男性に向けたものであり、やはりこういう科学エッセイを読むのは男性が多いのだろうか?

残念なことに、いずれも参考文献が記載されていない。これは邦訳の問題かと思ったが、巻末の解説でも「科学誌や日刊紙の連載記事を編纂したものなので、原著にも参考文献はついていない」と書かれているので、どうやらそういう本らしい。

これは正確には進化心理学の本ではなく、オックスフォード大学の進化人類学教授のロビン・ダンバーによる科学エッセイである。本書の一部で確かに進化心理学に触れられているのだが、ちょっと物足りない。

トンデモ本ではなく、オックスフォード大学の教授という権威ある著者による科学エッセイなので、興味のある人はどうぞ。

2015年4月9日

美容に興味のない俺がお勧め! お肌すべすべケミカル・ピーリング!!


足の裏の角質が厚くなって、妻にはからかわれ、自分でも触ってガチガチなのが気になって、手入れするものを探していた。靴下みたいに数十分はいて、しばらくするとボロボロむけるというものもあったが、なんだか怖いので手を出せず、そうこうするうちに見つけたのがこの商品。

カチカチの足裏にも使えると同時に、デリケートそうな顔でも大丈夫という、強力なのかソフトなのか分からないところが不安ではあったが、このレビューを見て試してみる気になった。

不安だと書いておきながら、いざ使う時には顔から試したのだが、これが驚くほど効果的だった。クリームをつけて1分くらいマッサージするうち、面白いくらいに消しゴムのカスのようなものがたくさん出てきた。終わってみると、肌のしっとりツルツル感がぜんぜん違う。かといって肌荒れするということもなく、何がどう効いたのか分からないが、古い角質がなくなるってこういうことかと実感した。それから数日後に改めて試したが、今度は消しゴムのカスがかなり減っていた(だから面白くなかった)。

同じように足の裏にも試してみたが、こちらは数回目で効果を感じられるレベル。続けていけばだいぶ違いそうではある。ということは、この商品はそう強力というわけでもなさそうだが、かといって非力でもなく、中途半端にイイ感じなのだろう。

今は顔に週1回、足の裏は週2回くらいでやっている。顔は終わったら化粧水と乳液をつけているが、これまでの肌とはまったく違うしっとり感。肌に関して辛口の妻からも、「だいぶ違うね」と評価される結果となった。

350円程度と値段が安いので、だまされたと思って試してみる価値は大いにある一品だ。

※ただし、薬と同じで肌に合う合わないが必ずあるので、肌の弱い人は特に、手の甲なので少量つけて反応を確かめるなどの用心は必要!! 俺の肌はけっこう弱い(アトピーやアレルギーはない)が、大丈夫だった。

2015年4月8日

不屈の弾道


ちょっと面白いB級映画を観たような感じになる本。

本書はいわゆる「神視点」小説である。
神視点とは、作品内で起こるすべての事情を知っている状態で、著者はどの登場人物にも自分の好きなように視点移動させて、登場人物全員について直接的な心理描写ができるというもの。

俺は基本的に神視点は苦手。同じように神視点が好きじゃない人には勧められない。

2015年4月7日

「耳鼻いんこう科」 大切なのは正しい発音ではなく、正しい伝達である

「耳鼻咽喉科」を「耳鼻いんこう科」に表示変更することになり、それについて耳鼻科の先生が院長に抗議していた。俺もその抗議に賛成だ。

そもそも「咽喉」を読めない人は、ひらがなで「いんこう」と書かれても、それが何を意味するのか分からないだろう。つまり「咽喉」を「いんこう」にひらがな表記したところで得する人はいないのだ。

逆に、漢字で「咽喉」と書いてあれば、それを見て「喉もみてもらえるのか」と分かる人がいる。しかし、ひらがなの「いんこう」にはそういう伝達力がない。なんのことか分からないまま「耳鼻咽喉科」を正しく「じびいんこうか」と発音することが、患者にとってどれほどメリットがあるというのか。

これがもし「耳鼻のど科」(じびのどか)に変更するというのなら、少しは賛成できたかもしれない。表音文字と表意文字を柔軟に使いこなしている日本において、大切なのは正しい発音ではない。正しい伝達である。

このままいくと、「せいしん科」「さんふじん科」「しょうに科」「がん(め)科」と書くのがデフォルトの情けない国と病院になりそうで怖い。

2015年4月6日

診療ヒントの見つけ方 『アイデアのちから』

クリスマスや誕生日に向けて、家族への贈り物を選んでいると想像してみよう。
「お父さんはジャズが好きだから、素敵なCDがあれば見逃さないようにしよう」
「お母さんは料理が趣味だから、なにか良い調理器具があればチェックしておこう」
そんなことを頭の片隅で思いつづけるようになる。そして、たまたま出かけたところでジャズの新譜、あるいは画期的な調理器具を見つけたら、ほとんど無意識にプレゼント候補として目をつける。

これは多くの人が自然と行なっていることである。この無意識に近い目の向け方の状態を「プレゼント・メガネ」と呼ぶとすると、生活の中には同じような「メガネ」がたくさんある。例えば俺は「精神科メガネ」というのをいつもかけている。いろいろな患者のことが無意識に頭の中にあって、読んだ本、観る映画、聴いたラジオなど、あらゆるものの中にちょっとしたヒントを見つけることができる。

だからといって、私生活でも仕事のことばかり考えているというわけではない。たとえばプレゼント・メガネにしても、両親の誕生日が近いからといって、いつも親のことを考えているような人はほとんどいないのだ。


上記は、本書の一部を読んで広げた考えで、アイデアや思考のヒント満載の良書である。

2015年4月3日

朝に強い

俺は朝に強い。

朝からわりとテンションが高いのだ。寝不足でも、二日酔いでも、上機嫌とは言えなくとも、少なくとも不機嫌ではない。そういう時でも、ちょっとしたジョークくらいは飛ばせるくらいのテンションである。

確かに小学校や中学校では朝寝坊だったし、母に苦労をかけたと思う。しかし、朝起きてしばらく不機嫌ということは記憶にない。世の中には、朝からやたらテンションが低く、時には舌打ちばかりするような人もいるが、そういうことは絶対にない。どちらかというと、朝はウキウキするほうだ。

今も早い時は4時に起きる。読書灯で本を読んだり、忍び足で寝室を出てネットをしたりして、体を覚ましたら太郎とジョギング散歩をする。この2-3時間の自由時間が、俺の生活の中で良い息抜きになっている。

子どもたちにも、朝のご機嫌さは受け継いで欲しい。

わたしが出会った殺人者たち


佐木隆三の本は初めて読んだ。文章は決して上手いとは言えず、読みなおさなければ意味がとりにくい部分も数ヶ所あったが、内容は充分に面白かった。

ただし、18人の殺人者による事件を連続して読むと、心がジメジメと湿気てきて、あまり良い気分にはなれない。

2015年4月2日

「パパ、あした、おしごといかないで」

「パパ、あした、おしごといかないで」
寝る前になると、時どき長女サクラがこんなことを言う。ずっと「明日たくさん遊ぼう」という意味だと思っていたのだが、ある日の朝4時半、布団を出る前に横で眠っているサクラの寝顔を見ていて自分が間違っていたことに気づいた。

俺が布団から出てしばらくすると、隣に俺がいないことに気づいたサクラは目が覚める。そして別の布団に寝ている妻を揺すって「ねぇパパは?」としつこく聞くらしい。そこで妻は「おしごとよ」と言って、サクラを自分の布団に引き入れて二度寝させるそうだ。すやすやと眠るサクラを見ていて、ふとこの話を思い出したのだ。

そうか、「おしごといかないで」というのは、「布団から出て行かないで」ということだったのか! 

そのことに気づくと、寝息を立てているサクラが愛しくてたまらなくなった。ずっと顔を眺めていたいくらいだ。しかし、だからといってずっと布団に入っていられるほど俺は布団好きではない。そっと布団を抜け出して、ネット、散歩、読書などを一通り軽くやり終え、それから改めてサクラの横に寝転がって本を読むという生活を開始してみたところである。

良心をもたない人たち


いわゆるサイコパスに関する本。このところ「サイコパスのしわざなのか?」と思いたくなるような事件ニュースが相次いでいる。良心のない人たちなので、更生も反省も期待できない。こういう人たちと、我々はどうやって共存していくべきなのか……。

2015年4月1日

メリットのメリットを伝えよ 『アイデアのちから』

「メリットのメリットを伝えよ」

広告業界にはこんな言葉があるそうだ。

例えば、消費者は直径6ミリの電動ドリルが欲しいわけではなく、子どもの写真を壁に飾るための直径6ミリの穴が欲しいのだ。あるいは消費者は世界一の芝の種が欲しいわけではなく、きれいな芝生の庭が欲しいのだ。

精神科でも同様のことが言える。初心者や詳しくない人は、幻聴を消せば良いとか、意欲を改善させれば解決とかいった具合に、症状をなくすことに目を向けがちだが、多くの患者が求めているのは症状を消すことではなく、「健やかに生活できること」である。そこを主眼にすると、また違ったものが見えてくるはずだ。

そしてこれは精神科だけでなく、例えば身体リハビリなどでも有用だろう。「手が動くようになったら良いと思いませんか」ではなく、「昔のように料理ができるようになりませんか」といった言葉かけのほうが、リハビリ患者に意欲や未来図を持たせられるはずだ。


上記は本書の一部から広げた考え。精神科分野に限らず、ヒント満載の良書である。