2015年12月17日

この面白さは読んでみないと分からない。Amazonの紹介文や文庫本の裏の筋書きを読んでも、これがもの凄く面白い本だということには気づけないはずだ。井上ひさしのユーモラスな昔話 『新釈 遠野物語』


この本を買ったのは、井上ひさしの『腹鼓記』(Kindle版)が非常に面白かったからだ。『腹鼓記』はタヌキとキツネの化かし合いをユーモラスに描いたもので、映画『平成狸合戦ぽんぽこ』に通じるところがあって、この映画が好きな人なら『腹鼓記』も気に入ると思う。

話がそれたが、本書はタイトルからも分かるように柳田国男『遠野物語』のパロディであるが、本家を読んだことがなくてもまったく問題にならないくらいできが良い。実際に俺も本家は読んだことがないが、始まりからグイグイと引き込まれて、あっという間に読み終えてしまった。

主人公は大学生で、学費が払えないのと勉強がつまらないのとで休学して実家に戻る。たまたまアルバイト先の近くの山に住む老人と知り合い、その老人がこれまでに体験してきた不思議な出来事の数々を聞いていく。こういう大枠は平凡なのだが、老人の語る奇想天外な話がそれぞれすごく面白い。

この面白さは読んでみないと分からない。Amazonの紹介文や文庫本の裏の筋書きを読んでも、これがもの凄く面白い本だということには気づけないはずだ。

この本で井上ひさしの評価が確定して、他にも数冊買うことにした。

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