2015年4月30日

クラウドクラスターの愛し方


『ふがいない僕は空を見た』が非常に印象的だった窪美澄(くぼ・みすみ)だが、本書もとっても良かった。ドラマチックなことが起きるわけでもないし、クライマックスというほどの何かがあるわけでもないのに、なぜだか惹きつけられてあっという間に読み終わる。まぁ、文章量が少ないというのもあるんだけれど。淡々と内面を描いていく感じ、好きだなぁ。

2015年4月22日

おとなの小論文教室。


ブログを続けてきて、「書く」ということについて考えようと思い立って、何冊か買ってみたうちの一冊だが、Amazonレビューの星1つと2つの人の意見がかなり俺の評価に近い。ネットに掲載された短文をまとめたものは、やはり本としては面白くないということだろう。

本書に高評価をつけている人の多くは、普段どんな読書をしているのだろうという疑問がわいて、チラッとだけレビューを読んでみて納得。ネットの小文を読むことが多い人たちなんだな。このブログもそうだが、ネット小文というのは一冊にまとめてみたところで、小文の寄せ集め程度にしかならず、本としての魅力はほとんどない。これは雑誌に連載されているエッセイにも似たようなことが言える。

2015年4月21日

運は数学にまかせなさい - 確率・統計に学ぶ処世術


このての本を読むのはもう何冊目だろうか。そろそろ打ち止めにしても良い気がするが、それでも読むたび毎回のように統計や確率に関する無知が招くリスクを思い知らされる。半分は自分の楽しみのために読むのだが、心の半分では、病院で患者や家族に説明する時に必要な統計や確率をうまく説明するためのヒントを探している。
Amazonのレビュー平均点どおり、面白い本だった。

2015年4月17日

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題


タイトルに魅かれて買ったのだが……、初出がブログ(ジェーン・スーは日本人です。)というのが多かった。飛ばし読みしたけれど、うーん、アマゾンの☆で言えば1と2のコメントが俺の気持ちに近い。
ちょっとクスッと笑えた部分もあったが、本でなくブログを読めば良いのかなという感じ。

2015年4月15日

おもいでエマノン


生命が誕生してから30数億年。脈々と続く生命の全記憶を受け継ぎながら生まれかわる少女・エマノン(もちろん太古の昔、人類登場以前には恐竜や魚ということもある)を軸に、彼女に関わるさまざまな人たちを描くSF短編集。読んでいると、自分の先祖の先祖のずっと先にいたはずの、変な生き物や名もなき微生物に対する尊崇の念がわいてくる不思議な本。

世の中には、俺の知らない『俺好みの面白い小説を書く作家』がまだまだたくさんいるんだなと痛感した一冊。

2015年4月13日

0能者ミナト<4>


ミナト・シリーズの4作目。ミステリとホラーとサイエンスものをかけあわせた欲張りで、かつ一定のクオリティを保ち続けているラノベ。

2015年4月10日

友達の数は何人? ダンバー数とつながりの進化心理学


進化心理学という分野が面白そうだったので読んでみた。

興味深い話、研究結果の紹介はたくさんあった。
たとえば男性より女性のほうが色覚に敏感だという話。これは男性が赤、青、緑という三色視であるのに対して、女性が四色視、中には五色視をしている人もいるそうで、なるほど確かに女性のほうが服の色の組み合わせや化粧のわずかな違いに気づきやすく、またこだわりも強いことが多い。著者のダンバー教授も読者に対して率直に、
「外出のしたくが遅い妻にいらいらしたことはないだろうか?」
と問いかけている。これを書きながらふと思ったのだが、この問いは明らかに男性に向けたものであり、やはりこういう科学エッセイを読むのは男性が多いのだろうか?

残念なことに、いずれも参考文献が記載されていない。これは邦訳の問題かと思ったが、巻末の解説でも「科学誌や日刊紙の連載記事を編纂したものなので、原著にも参考文献はついていない」と書かれているので、どうやらそういう本らしい。

これは正確には進化心理学の本ではなく、オックスフォード大学の進化人類学教授のロビン・ダンバーによる科学エッセイである。本書の一部で確かに進化心理学に触れられているのだが、ちょっと物足りない。

トンデモ本ではなく、オックスフォード大学の教授という権威ある著者による科学エッセイなので、興味のある人はどうぞ。

2015年4月9日

美容に興味のない俺がお勧め! お肌すべすべケミカル・ピーリング!!


足の裏の角質が厚くなって、妻にはからかわれ、自分でも触ってガチガチなのが気になって、手入れするものを探していた。靴下みたいに数十分はいて、しばらくするとボロボロむけるというものもあったが、なんだか怖いので手を出せず、そうこうするうちに見つけたのがこの商品。

カチカチの足裏にも使えると同時に、デリケートそうな顔でも大丈夫という、強力なのかソフトなのか分からないところが不安ではあったが、このレビューを見て試してみる気になった。

不安だと書いておきながら、いざ使う時には顔から試したのだが、これが驚くほど効果的だった。クリームをつけて1分くらいマッサージするうち、面白いくらいに消しゴムのカスのようなものがたくさん出てきた。終わってみると、肌のしっとりツルツル感がぜんぜん違う。かといって肌荒れするということもなく、何がどう効いたのか分からないが、古い角質がなくなるってこういうことかと実感した。それから数日後に改めて試したが、今度は消しゴムのカスがかなり減っていた(だから面白くなかった)。

同じように足の裏にも試してみたが、こちらは数回目で効果を感じられるレベル。続けていけばだいぶ違いそうではある。ということは、この商品はそう強力というわけでもなさそうだが、かといって非力でもなく、中途半端にイイ感じなのだろう。

今は顔に週1回、足の裏は週2回くらいでやっている。顔は終わったら化粧水と乳液をつけているが、これまでの肌とはまったく違うしっとり感。肌に関して辛口の妻からも、「だいぶ違うね」と評価される結果となった。

350円程度と値段が安いので、だまされたと思って試してみる価値は大いにある一品だ。

※ただし、薬と同じで肌に合う合わないが必ずあるので、肌の弱い人は特に、手の甲なので少量つけて反応を確かめるなどの用心は必要!! 俺の肌はけっこう弱い(アトピーやアレルギーはない)が、大丈夫だった。

2015年4月8日

不屈の弾道


ちょっと面白いB級映画を観たような感じになる本。

本書はいわゆる「神視点」小説である。
神視点とは、作品内で起こるすべての事情を知っている状態で、著者はどの登場人物にも自分の好きなように視点移動させて、登場人物全員について直接的な心理描写ができるというもの。

俺は基本的に神視点は苦手。同じように神視点が好きじゃない人には勧められない。

2015年4月7日

「耳鼻いんこう科」 大切なのは正しい発音ではなく、正しい伝達である

「耳鼻咽喉科」を「耳鼻いんこう科」に表示変更することになり、それについて耳鼻科の先生が院長に抗議していた。俺もその抗議に賛成だ。

そもそも「咽喉」を読めない人は、ひらがなで「いんこう」と書かれても、それが何を意味するのか分からないだろう。つまり「咽喉」を「いんこう」にひらがな表記したところで得する人はいないのだ。

逆に、漢字で「咽喉」と書いてあれば、それを見て「喉もみてもらえるのか」と分かる人がいる。しかし、ひらがなの「いんこう」にはそういう伝達力がない。なんのことか分からないまま「耳鼻咽喉科」を正しく「じびいんこうか」と発音することが、患者にとってどれほどメリットがあるというのか。

これがもし「耳鼻のど科」(じびのどか)に変更するというのなら、少しは賛成できたかもしれない。表音文字と表意文字を柔軟に使いこなしている日本において、大切なのは正しい発音ではない。正しい伝達である。

このままいくと、「せいしん科」「さんふじん科」「しょうに科」「がん(め)科」と書くのがデフォルトの情けない国と病院になりそうで怖い。

2015年4月3日

朝に強い

俺は朝に強い。

朝からわりとテンションが高いのだ。寝不足でも、二日酔いでも、上機嫌とは言えなくとも、少なくとも不機嫌ではない。そういう時でも、ちょっとしたジョークくらいは飛ばせるくらいのテンションである。

確かに小学校や中学校では朝寝坊だったし、母に苦労をかけたと思う。しかし、朝起きてしばらく不機嫌ということは記憶にない。世の中には、朝からやたらテンションが低く、時には舌打ちばかりするような人もいるが、そういうことは絶対にない。どちらかというと、朝はウキウキするほうだ。

今も早い時は4時に起きる。読書灯で本を読んだり、忍び足で寝室を出てネットをしたりして、体を覚ましたら太郎とジョギング散歩をする。この2-3時間の自由時間が、俺の生活の中で良い息抜きになっている。

子どもたちにも、朝のご機嫌さは受け継いで欲しい。

わたしが出会った殺人者たち


佐木隆三の本は初めて読んだ。文章は決して上手いとは言えず、読みなおさなければ意味がとりにくい部分も数ヶ所あったが、内容は充分に面白かった。

ただし、18人の殺人者による事件を連続して読むと、心がジメジメと湿気てきて、あまり良い気分にはなれない。