2015年3月20日

乱読のセレンディピティ


ロングセラー『思考の整理学』で有名な著者だが、本書はちょっとあんまりだった。外山滋比古は認知症になったんじゃなかろうか……、と感じてしまったほどだ。書いたのが恐らく90歳前後、多少の物忘れはあっても仕方がない。というか、それが自然だ。

読みながら、
「この本は連載エッセイあるいは何回か行なった講演会を一冊にまとめたものか?」
と思うくらい、たいした分量もない本書の中でいくつか同じようなエピソードが繰り返し取り上げられるのだ(あとがきには、すべて新稿であると明記してある)。また前後の主張のつながりが弛緩してしまっているところも散見され、とても理路整然とまとまったエッセイとは言い難い。

しかし、である。

Amazonレビューの評価は異常に高い。読者は見て見ぬふりか、気づかないのか。いや、それ以前に、編集者は変だと思わなかったのか。それとも大御所には意見できなかったか。

ただし、内容は決して陳腐ではなく、学ぶべき点も多々ある。そして、著者が主張するような心構えで読むならば、本書の評価は★3つである。

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