2014年5月28日

医師の過労自殺 判決に「そりゃないだろ!!」と激しく抗議したい

まずは産経新聞の記事にさっと目を通してもらいたい。
8000万円賠償命令 医師過労自殺、パワハラ認定 兵庫の病院 鳥取地裁
2014.5.26
公立八鹿(ようか)病院(兵庫県養父(やぶ)市)の男性医師=当時(34)=が自殺したのは当時の上司による長時間労働とパワーハラスメントが原因だったとして、両親が病院側などに約1億7700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、鳥取地裁米子支部であった。上杉英司裁判長は「厳しい言動と自殺に因果関係があった」として元上司個人の賠償責任も認め、病院側と元上司2人に計約8千万円の支払いを命じた。
原告側代理人によると、医療現場の過労自殺で病院の使用者責任だけでなく、上司の個人責任も認めた判決は異例。元上司は当時地方公務員だったため、本来なら国家賠償法に守られ個人の責任を負わないが、上杉裁判長は「民間病院と異なる点はない」として民法の不法行為を認めた。
判決によると、男性は平成19年10月、鳥取大学から公立八鹿病院に派遣され、整形外科医として勤務。月174~206時間にのぼる時間外労働や上司2人の叱責と暴力行為などによって鬱病を発症し、同年12月に官舎で自殺した。
病院側は「パワハラではなく必要な指導だった」などと主張したが、上杉裁判長は「社会通念で許される指導や叱責の範囲を明らかに超える」と退け、パワハラがあったと認定した。
一方、自殺した男性医師にも職業上、鬱病の知識があったと考えられることなどから、過失相殺で2割を減額するなどした。
病院側の第三者委員会は20年6月に報告書をまとめ、元上司のパワハラを「不適切な指導」と結論づけたが「悪意によるいじめとまでは認められない」と指摘。22年8月には男性医師の自殺が公務災害と認められたが、長時間労働だけが理由とされ、パワハラについての判断はなかった。
公立八鹿病院の話 「判決文を見ていないので今後、内容を検討したい」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140526/waf14052619550018-n1.htm
太字下線で強調した部分、

「自殺した男性医師にも職業上、鬱病の知識があったと考えられることなどから、過失相殺で2割を減額する」

なんだこれは!?

「医師という職業上、うつ病の知識がある」ことが、「2000万円」を減額するような過失なのか!?

この自殺した医師は整形外科医である。整形外科医が「職業上、うつ病の知識があった」ことを過失として2割2000万円も減額されるのなら、うつ病を専門とする精神科医が過労自殺したら2割2000万円しかもらえないのかもしれない。

ハードに見えなくても、精神科医だって過労自殺する可能性はあるよ(震え声)

ところで、実際どんなパワハラがあったのか、これは別の記事を。
八鹿・医師自殺 病院側に8000万円賠償命令
養父市の公立八鹿病院の男性勤務医=当時(34)=がうつを発症し自殺したのは過重労働とパワーハラスメントが原因だとし、鳥取県米子市の両親が、同病院と当時の上司だった医師2人に約1億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、鳥取地裁米子支部であった。上杉英司裁判長はパワハラを認め、運営する病院組合と2人に計約8千万円の支払いを命じた。
男性医師は2007年10月から同病院整形外科に勤務し、着任約2カ月後の同年12月に病院宿舎で自殺した。
判決によると、自殺前4週間の時間外勤務は174時間、その前の4週間は206時間に達し、継続的にパワハラも受けていた。
医師経験が半年だった男性医師は、上司から「介助の要領が悪い」と患者の前で頭をたたかれたほか、手術の際には「田舎の病院だと思ってなめとるのか」などと叱責(しっせき)された。
「君は給料の3分の1しか働いていない。君のしていることをお父さん、お母さんに言ってやる」などとも言われ、上杉裁判長は「社会通念上許される指導の範囲を明らかに超える」と指摘した。上司はいずれもすでに同病院を退職している。
上杉裁判長は同病院について「上司2人との関係も含めた勤務状況を把握し、疲労や心理的負荷の軽減を図るべきだった」とした。
会見した母親(67)は「うつを発症させたのが、病院であったというのが残念でならない。こんな悲劇を繰り返してはいけない」と涙ながらに訴えた。男性医師をよく知る医師も同席し「とても優しく優秀な医師だった。医療現場は今でも徒弟的で、改善されなければならない」と話した。両親の代理人弁護士は「公務員のパワハラ訴訟で、上司に賠償を命じるケースは聞いたことがなく、画期的な判決」と評価した。
八鹿病院の米田一之事務部長は「判決文が届けば、控訴を含めて検討したい」とコメントした。
ついでに些細なことながら、過労自殺の裁判で、過失相『殺』という言葉を使うのはどうなんだろう……。法律用語だから仕方がないのかもしれないけれど、他に何か良い言い方はないものか。

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