2013年10月31日

学資保険の元本割れはリスクではない

学資保険の元本割れが話題になっているが、あれは契約期間中に契約者(親)が死亡した場合、それ以降の保険料は免除されたうえ満期には満額(多少の元本割れはあるにしろ)をもらえるというものだ。だから、
「親が死なずに満期がきたら多少は損をするかもしれないが、もし親が死んでも心配しなくても大丈夫」
というシステムで、保険というのは元来がそういうものだ。

生命保険とは、「命をネタにして賭けをしている」ということである。この場合の賭けの勝敗は、契約者側からすれば、誰がどういう気持ちで誰に対する掛け金(賭け金)を払うかによる。例えば、子どものために保険に入る親と、保険金殺人を企む人とでは勝利条件が違うだろう。ただ、保険会社にしてみれば、「誰も病気にならず事故もしない」というのが大勝ちだ。

だから保険会社は健康な人を優先的に賭けに参加させたがるし、契約者が健康を維持しようという気になるよう仕向ける。ほら、健康不安を煽るような番組や本の裏側には、保険会社の影がチラチラと見え隠れしているではないか。(←かなりの独断だが、CMをチェックしたらきっとかなり当たっていると思う)

最後に学資保険に話を戻すと、元本割れはリスクではなく、上記したような保険に入るコストと考えておいたほうが良い。つまり元本割れしなかったら、コストゼロで保険に入れたということだし、多少の元本割れがあっても、かなりローコストで保険に入れたということである。決して損をしたわけではないし、ましてリスクなんかではないのだ。

ただし、保険会社が加入前に事前説明をしっかりするというのは当然の義務である。

まっとうな経済学

まっとうな経済学
俺がこの手の翻訳本を読んで挫折するのには3つの原因が考えられる。

1.著者の文章が悪い。
2.訳者の翻訳が悪い。
3.俺の頭が悪い。

3は心情的に認めたくない。でもAmazonのレビューを見る限り、1でも2でもなさそうだ……。古本で入手して、およそ3分の1までは頑張って読み進めて、そこから数ページにわたって鉛筆で線を引いてあったので、一気に気分が萎えてしまった。

九州大学経済学部卒業の同門生らの名誉のために書いておくが、恐らく俺は卒業生の中でも最底辺の落ちこぼれだったはずだ。優秀な友人は多かったし、彼らなら絶対に読みこなせるだろう。どうやら俺は、経済学を学ぶセンスに欠けているようだ。

鉛筆で書かれた線を消して図書館へ寄贈。

月の光に照らされて

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平成25年9月19日、この日は中秋の名月。そしてまだまだ暑かった。

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絞りを開放1.8に、オートフォーカスが効かないのでマニュアルに切り替えて撮影。

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2013年10月30日

モーラスと光線過敏症

モーラスはわりと頻繁に処方されている貼付薬であるが、「貼っている場所は日光に当てないように」という注意を受けていない人が多い。添付文書では以下のように書いてある。
光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤貼付部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに本剤の使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。
また、副作用の欄には、
光線過敏症(頻度不明)
本剤の貼付部を紫外線に曝露することにより、強い痒を伴う紅斑、発疹、刺激感、腫脹、浮腫、水疱・びらん等の重度の皮膚炎症状や色素沈着、色素脱失が発現し、さらに全身に皮膚炎症状が拡大し重篤化することがあるので、異常が認められた場合には直ちに使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。なお、使用後数日から数カ月を経過してから発現することもある。
という記載がある。頻度不明ながら、そこそこ怖い副作用であり、俺は初めて処方する人には説明するようにしている。きっとこのブログを読んで、「え!? そうなの!?」と驚いている人も多いのではないだろうか。

ある患者は、モーラスを肩に貼って屋外で遊んだら、貼った場所が四角形に日焼けしていた。体に何かを貼って日にあたれば、普通はその部分だけ「日焼けしない」ものだ。どういう機序か分からないが、実際にこういうことがあるということは知っておいた方が良いし、処方する医師も知らせるように努めるべきだろう。

帽子が好きなんだって!

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ちょっと前は大嫌いだった帽子。今は家の中でもかぶるくらいに大好きなんだって(笑)

2013年10月29日

かばん屋の相続

妻の実家で酒を飲んでいる時、池井戸潤の小説に関してメガバンクでエリート行員として勤務している妻の従兄と、同じく元銀行員である義従兄の奥さんに話を聞いたところ、
「銀行員の心理をうまく表現している」
ということだった。また、話の中身もそれぞれ「あるある」というようなものらしい。それを聞きながら俺は思った。

俺に銀行員は無理だ……。

俺が卒業した九州大学経済学部といえば、九州地方ではそれなりに格のあるところである。友人の多くは商社や証券会社、そして銀行に就職していった。就職活動を熱心に行なう彼らを横目に、俺はろくな就職活動もせずに、というか4年生後期にもなって足りない単位を集めるのに必死だったのだが、結局ブックオフに就職してしまった。

人生万事塞翁が馬という言葉があるように、それから紆余曲折を経て、なんとか医師というポジションにたどり着けたわけだが、池井戸潤の小説を読んでいてつくづく感じるのが「締め切りとノルマのない幸せ」だ。

もちろん、まったく締め切りがないというわけではなく、様々な診断書や届けを出す期限というのは決まっているし、毎日の患者をすべて診てしまわなければ1日が終わらないという意味ではそれもノルマと言えるかもしれない。しかし、そんなもの、銀行員の抱えている締め切り・ノルマと比べたら楽なものだ。

決して、精神科医の仕事のほうが気楽だ、というわけでない。ただ気苦労の種類が違っていて、とてもではないけれど、俺には銀行員にかかるプレッシャーに耐える自信がない。

義従兄は毎日23時過ぎの帰宅らしい。池井戸潤の小説に出てくるようなハードで神経をすり減らす仕事もやっているそうで、しかもそれを、
「わりと自分には合っていると思うなぁ」
と言って微笑むのだから、つくづくその強心臓ぶりに戦慄するのであった。

かばん屋の相続
面白かったので蔵書決定。

ジュース飲んでニッコリ

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2013年10月28日

リスク・リテラシーが身につく統計的思考法

さて、問題。日頃から患者に検査を受けさせ結果を説明をしている医師には簡単すぎる?
ある地域で、40歳から50歳までの自覚症状のない女性を調べると、乳癌である確率が0.8%であることが分かっている。また乳癌であれば、検査Aで陽性になる確率は90%である。そして、乳癌でなくても陽性と出る確率は7%である。さて、ある女性の検査結果が陽性と出たとして、この女性が実際に乳癌である確率はどれくらいか?
ここから先を読む前に、大雑把でも当てずっぽうでも良いので、自分なりの答えを用意してみて欲しい。これを数式を用いてサラサラと解ける人もいるだろうが、そんなことをしなくても、考え方をこう変えてみると良い。
ある地域では、1000人の女性のうち8人が乳癌である。この8人が検査Aを受ければ7人が陽性になる。そして、乳癌ではない992人のうち、約70人で検査結果は陽性と出る。では、ある女性の結果が陽性であった場合、この女性が実際に乳癌である確率はどれくらいか?
どうだろう。一気に視界が拡がったんじゃないだろうか。答えは、陽性者77人のうち本当に乳癌である人が7人であるから、約9%となる。

こうやってパーセンテージではなく実際の数で表すのを自然頻度という。これは、検査結果を説明する側である医師に限らず、検査を受ける患者も知っておいて損はないどころか、かなり有意義なものであるはずだ。いや、むしろ知らないで損をしていることが多いかもしれない。

では次の練習問題。
HIV感染に対してリスクの高い行動をとっていない男性(ロー・リスク)において、0.01%がHIVに感染しているとする。このグループの男性が実際にHIVに感染していれば、検査結果が陽性になる確率(感度)は99.9%。感染していなければ、陰性になる確率(特異度)は99.99%。では、ロー・リスクの人が検査を受けて結果が陽性であった場合、ウイルスに感染している確率は何パーセントか?
さぁ、頭を悩ませて無駄な時間を使わずに、さっき学んだ自然頻度を使ってみるんだ。
1万人に1人いる感染者は、ほぼ確実に検査結果が陽性になる。残り9999人の非感染者のうち、1人は陽性になってしまう。ということは、検査結果が陽性になるのは2人、本当に感染しているのは1人。したがって、結果が陽性であっても、本当に感染している確率は50%である。
この検査、100万人が受けたとしたら、感染していないのに陽性となる人(偽陽性)が100人近く出ることになる。かつてアメリカではHIV検査で陽性と告げられて自殺した人たちが何人もいるらしいが、彼らの多くに偽陽性の人が含まれていたのではないだろうか……。そう考えると、検査結果の性質、意味を知らないことは、患者にとって大損であるし、医師にとっては罪作りである。

これを読んで危機感を抱いた医師や患者、その他大勢の人たちは、この本を読むべき。

リスク・リテラシーが身につく統計的思考法―初歩からベイズ推定まで

この知識が1000円以下で手に入るのだから、買わない手はない。

<関連>
乳がん検診、若い女性が受けた場合に不利益も

アリの観察をするサクラ

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公園で大きいアリを発見!

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食い入るように見つめるサクラ。左腕には蚊がとまっている(笑)

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2013年10月27日

パパと二人で公園へ & 昨夜の夜泣きと2語文

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ヨイショと登る瞬間。


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かなりたくさん歩いたので、最後は抱っこしてという感じでしがみついてきた(笑)



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ピンボケだけど、水筒から飛び散る水滴が良かったので。

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以上、夕方の公園にて。

ところで、昨夜は夜中1時に突然起きて、珍しく激しい夜泣き。雰囲気からすると、なんだか怖い夢でも見た後という感じ。起きて膝に抱えて、抱きしめて、背中と頭をトントンと叩いてあげても泣きやまない。ついにはその夜泣きの勢いで、

「あっち、行く!」

とリビングを指さす。今までの2語文は、せいぜいが「あっち、行った」くらいであったが、今回、自分の意思を伝える「あっち、行く」が出たわけだ。

結局、サクラと二人でリビングに行って、録画していたアンパンマンを1話だけ観た。サクラは、

「ここ!」

と言って自分の頭をポンポンとする。これはつまり、俺の手をそこに置いてトントンしろということだ。だんだんとやり取りができるようになってきて、とても楽しい。

2013年10月26日

太郎

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家の中からコッソリ。

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車の中からコッソリ。

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寝起きちゃん

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2013年10月25日

不登校の子へのアプローチ

不登校の子を診察・治療するやり方で、これが正解というものはないだろう。ただ、先輩医師からの口伝で、「初診で親を泣かせたら勝ち」ということは教わった。子ども自身と同じくらい、あるいはそれ以上に親は悩み苦しんでいる。こちらがその気持ちを汲んであげれば親は泣く。それは不登校の子の治療に良い影響を与える。

先日、不登校相談にやってきた中学生の男子K君と母親。こちらがK君に問いかけると、彼はボソボソッと小声で答える。それにかぶせるようにして母親が非難めいた言葉をK君に投げつける。K君が不満そうに母親を見ると、
「なんだその目は! 言いたいことがあるならはっきり言ってみろ!!」
といった感じで、俺の前でちょっとした口論となってしまう。カルテには、
(ここで口論が始まる)
といった記載をしている。二人でケンカしている姿を見ながら個別に診察することも検討したが、今回のケースではある一つの駒を握っていたので、敢えてケンカする二人を引き離すことはしなかった。

その駒とは、実は母親のほうを以前に診察したことがあり、彼女が息子を愛していること、また息子もすごく優しいと知っていたということだ。これは『アスペルガーかどうか、それはともかくとして……』の続編にあたる。

ケンカが一息ついたところで、サラッと、
「お母さん、大体いつもこんな勢いですか?」
と聞くと、母親は苦笑いして「えぇ」と答えた。そこでK君に、
「ポンポンポンッて勢いよく言われたら、ちょっとキツイね」
と言うと、K君は突然下を向いて静かに泣き出した。
「お母さん、今度から言いたいことは5秒我慢してみましょうか。ご飯のおかわりと一緒で、あれも食べ終わって5分待てば、もうおかわりしなくても良いかなって時があるじゃないですか。5秒待っても、どうしても言いたいってことは、それはもう言っちゃえば良いですよ」
俺がそう語りかけると、母親は、
「わたし、10秒待たないとダメかも」
と苦笑し、それから、すっと涙をこぼした。

女手一つの子育てには、大変な苦労がつきものだ。彼女は日給6000円の肉体労働をしており、毎日くたくたになって帰ってくる。我が子は今日も学校に行っていない。昼間はゴロゴロ昼寝している。なぜだ。こんなことで大丈夫なのか。父親がいないからダメなのか。やきもきする。悔しくなる。哀しくなる。そんな時に、息子の携帯電話の料金が跳ね上がっていることに気づく。問いただすと、携帯ゲームで課金していた。ゲーム代が6000円。自分の一日の日当だ。炎天下、重いものを持って運んで持って運んで持って運んで、背中が痛い、腰が痛い、膝が痛い、帰宅して痛さで泣いたこともある。そうやって手に入れる6000円が、学校に行かない息子の携帯ゲーム代になって消えていく。怒りと疲れから、「学校も行かないくせに、携帯でゲームして、熱があるなんて言っても元気じゃないか」と心ないことを言ってしまう。そんなこと可愛い息子に言いたくないのに、疲労困憊した体では心のブレーキがきかなくなっている。息子とギクシャクするたびに、やり場のない憤りと切なさがこみあげて辛くなる。

K君は泣きながら、母親の言葉に耳を傾けていた。
「お母さんの日給が6000円って、知ってた?」
首を横に振るK君。
「お母さんのこんな気持ち、知ってた?」
下を向いたまま、また首を横に振る。
「でもさ、キツイこと言われたら、やっぱりキツイよな」
今度は首を縦に振って、涙をポロリ。

「お母さん、学校に行くという目標、やめませんか」
「はぁ……」
「だって、登校を目標にするから、学校に行っていない姿を見てイライラするし、どうしたら良いか分からなくなるんでしょ」
「そうですね(笑)」
「K君、君は学校には行かなくても良いから、まずは昼寝をゼロにしよう」
「はい」
「それで、今度の診察までに何日昼寝せずに過ごせたか、お母さんにチェックしてもらうと良いよ」
「はい」
「それからお母さんは、今度の診察までに言いたいことを10秒我慢できなかったら、それはK君がチェックしてあげよう」
これには、K君と母親、チラリと視線を合わせて苦笑い。

「最後にもう一つ。学校を休んで、お母さんの仕事現場に連れて行ってもらいなさい。ずっと付きっ切りでいる必要はないけれど、親が働いている姿を見るのは良い社会科見学になるよ」
何かを一生懸命に考えているような顔のK君は、真剣な表情で「はい」と答えた。
「お母さんが、どうやって6000円を手に入れるのか、見ておいで」
また顔をクシャクシャにして涙をこぼし始める母親。
「でもこれって、見学のために学校を休めって言っているみたいで変なんだけどね」
これで3人笑って診察終了。

めでたしめでたし?

そんなわけがない。山あり谷あり、まだまだいろいろなことを乗り越えないといけないだろう。そもそもK君にとって「学校に行くこと」は、決して人生のゴールなんかではないのだから。

飛行機の中、夕日に照らされて

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2013年10月24日

Qのしっぽはどっち向き? 3秒で人を見抜く心理学

おもしろい実験がある。

被験者に新聞を渡して、「この中の写真を数えるように」と指示する。実は新聞の中には半ページ大で「これを見たと報告した人には1万円あげます」と書いてあるのだが、普段から「自分はツイていない」と思っている人は見つける確率が低く、「ツイている」と考えている人は高かった。

Qのしっぽはどっち向き? 3秒で人を見抜く心理学
上記の実験から、筆者は、
「日頃の思考・行動の習慣が運・不運に影響するのだ」
と言う。なるほど一理あるかもしれないが、それよりは、『となりの車線はなぜスイスイ進むのか?』で紹介した実験と同じ人間の認知力の面白さを示しているように感じる。

ちょっと飲み会で使えそうな心理テストもあった。それが本書のタイトルである。
まず、何も考えずに、アルファベットの「Q」をおでこに書いてみよう。さて、Qのしっぼはどちら向きになっただろうか。これはあなたの嘘つき能力をチェックするものだ(あくまでも能力であって、嘘つきかどうかを調べるものではない)。
しっぽが顔の左側にある人、つまり相手から見て読めるように書いた人は、セルフモニタリング能力が高く、他人の目を気にする傾向がある。他人に注目されるのが好きで、自分が置かれた状況に適した行動をし、他人に自分をどう見せるか操作することができる。つまり、嘘をつくのが上手いということらしい。
逆に、しっぽが顔の右側、つまり自分が読めるように書いた人は、セルフモニタリング能力が低く、どんな状況であっても常に「同じ自分」でいて、自分の内的感情や価値観に従って行動し、自分の行動が周りの人に与える影響をあまり意識しない。つまり人をだますのが下手。

さて、この心理テストの面白いところはここからで、この説明を聞いた後では、自分が最初に書いたのとは違う向きに書いたと思い込む人が出てくることだ。自分がなりたいと思う姿になれるよう事実を曲げて、目の前の証拠を消してしまう。つまりこのテストは、他人をだます能力だけでなく、自分をだます能力の目安にもなるという。

本書の中に面白いジョークが出ていた。
ホームズとワトソンがキャンプをしていた。星空の下にテントを張って眠ったが、夜中に眼を覚ましたホームズがワトソンを呼び起こした。
「ワトソン、天を見上げてごらん。何が見える?」
「無数の星が見える」
「そこから、何が分かるかい?」
「えへん、無数の星があるということは、なかには惑星があるかもしれないということで、地球のような惑星があることももちろん考えられる。だとしたら、生物がいるかもしれない」
すると、ホームズが言った。
「ワトソン、どうかしてないか? 誰かにテントを盗まれたってことじゃないか」
軽めの心理学の本。そこそこ面白い。一応蔵書しておくか。 

イオン・モールで

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迷子の放送が何度かあっていたが、怖いなぁ。

2013年10月23日

4時間以上も説得して生活保護を受給させた話

ずいぶん前の話だが、14時から4時間以上をかけて一人の新患と向き合ったことがある。父の保証人として3000万円、自分の借金が2000万円弱の借金のある人だった。

保健所の多重債務相談に行って弁護士と相談し、そこで不眠や自殺願望を訴えたため、「精神科無料相談券」というものを持って精神科を受診した、という経緯。

金がないから、という理由で入院も薬を処方することも拒否。
「別居している妻に遺書を出した。明日、届く。もう死ぬしかない」
この一点張りで、にっちもさっちもいかなかった。
「ここで話せば何かが変わるかもと思ったけれど……、来たのが間違いでした」
そう言って立ち去ろうとする彼を、なだめたり、押しとどめたり、時には力比べになる場面も。

これではらちが明かないので、もともと精神科受診を勧めた保健所へ連絡。職員がやってきて、生活保護を受給すれば医療費が無料なので、それで治療をしないかと説得。それでも頑なに、
「遺書を出したから」
と言い張る患者。ところどころで、
「これで入院したら、死ぬ気もないのに遺書を書いたと妻に笑われる」
といった発言もあって、これは単純なうつ病というより、「男のメンツ」のようなものも根底にありそうだなぁと感じた。

確かに、妻からは時どき、「死んでちょうだい」とか、「あなたが死ねば、みんなが助かる」とか、そういうことを言われていたらしい。だからだろうか、妻への連絡は拒否。自宅の電話やその他の家族の携帯は料金未払いで止められているため、保健所職員が同居する父と弟のところへ直接行って事態を説明したが、「別にどうでも良いから」ということだった。

それでもどうにかこうにか生活保護申請をして、入院手続きまで終えたら19時近かった。最終的には彼が入院に同意して、俺から妻に電話したのだが、その時に彼から、
「先生が強制的に入院させた、と言ってください」
と頼まれた。つまりは、やっぱり、男のメンツなのだ。とはいえ、妻に対して強制入院させたなどという嘘はつけないので、「入院が必要と判断したので、入院させます」とだけ伝えた。

さすがに、くたくたに疲れて帰宅した。

翌日、病棟には元気に卓球をする彼の姿があった……。

亀山亭ホテルの中庭で

実戦 心理療法

実戦 心理療法
とても良い本だった。特に、支持的精神療法に関する部分と人格障害について述べられた部分は、過去に読んだどんな精神科関連本よりも胸を打たれた。村上先生には、もっと本を書いて欲しい。
一般の人にもお勧めできる本。

2013年10月22日

俺は建て前が大嫌いなんだ!!

昼休みに医局で昼ご飯を食べていると、同期の外科医から、
「おっ、この時間に医局でご飯なんて珍しいね」
と言われた。確かに、医局で食事するのは月に1回くらいで、あとは診察室で食べている。診察が一段落するのが13時前後。とはいえ全員終了というわけでもなく、精神科の前に他の科を受診している患者がチラホラいたり、午前の予約に来なかった人が「今から診てくれ」(こういう人たち、相手を待たせるわりに自分は待てない)と来たりで、医局に上がってもゆっくりできない。そういうわけで、1時間以上完全にフリーという状況でない限り、昼ご飯は診察室で食べることにしている。

先日、来年度に関する意向調査があった。迷った末「他院での勤務を希望」に丸をつけた。以前から院長にはそういう風にすると言っており、院長は「それはやめて! 俺が怒られる!!」と苦笑していた。しかし、一人体制で半年が過ぎて、残り半年はなんとか踏ん張れても、来年度も一人でやるとなると正直なところ限界だ。

母体組織に精神保健指定医資格をもつ精神科医が俺一人しかいない状況で、その俺が他院勤務を希望している。組織の言い分は、
「個々人の希望を最優先する」
というもので、昨年度末は、
「後輩の精神科医が他地域での勤務を希望しているから」
という理由で、今年度の一人体制を余儀なくされた。ならば、同じセリフを今回も組織には言ってもらおうではないか。他院での勤務を求める俺の希望を最優先に、できるものならやってみろ! 俺は建て前が嫌いなんだ。そういうキレイ事で場を收めようとしたことを後悔させてやる。そう、やられたらやり返す!! 倍返しだっ!! ← ちょっと古い。

……。

とはいうものの、この病院には精神科病棟があり、30名以上の入院患者がいて、とてもではないが制度的にも、そして俺の心情的にも、精神保健指定医不在にはできない。結局、なんだかんだ言って倍返しには到底及ばず、せいぜいが半返しになるかならないか程度だ。

まったく、やってられないよ。

サクラの食事動画



ピアニスト・中村弥生の生演奏

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亀山亭ホテルにて。

リクエストに応えて、それをジャズ風にアレンジしていく中で、アンパンマンの希望があったので慌てて録画!!


パッヘルベルのカノンをリクエストしてみた。


中村弥生のブログ。

2013年10月21日

腰を抜かす子、逃げ出す子

我が子を観察することは、親としての楽しみと同時に、精神科医として物事を考察する良い機会にもなる。

最近気づいて面白かったのは、サクラに向かって「ウォー!」などと言いながら追いかけると、サクラはわりとすぐに腰を抜かしたようにうずくまること。これが甥っ子や姪っ子ではどうだったかと考えてみると、それぞれに少しずつ違いがあるような気がする。さっと逃げ出すような子もいるし、サクラより早くうずくまる子もいる。そういえば犬や猫を見ていても、やはり驚いた時の反応はそれぞれに少しずつ違うものだ。

こういう反応の違いは、種としての生存確率を高めることに役立っているのではないだろうか。反射的にさっと反応して逃げるほうが有利に決まっている? いや、そうとも限らない。例えば足場の悪い崖などで、驚くたびに飛び退くようではいつか転げ落ちるだろう。

同様のことは赤ちゃんの成長過程の差を見ても感じる。人間を野性動物のようなものだと仮定してみよう。すべての赤ちゃんが同時に歩けるようになると親の目が行き届かず、巣からはみ出して外敵に捕まってしまう赤ちゃんもいるだろう。成長の早さが少しずつズレることで、こういう危険を回避しているのかもしれない。

こういう違いは、ストレスにさらされた時の心の反応の仕方にもあるようだ。辛い出来事や苦しい仕事に直面した時、多くの人はうつ状態になるものだが、中には躁状態になってフルパワーで乗り切るような人もいる。うつ状態を「身を縮めて嵐が過ぎるのを待つ待機型」とするなら、躁状態は「嵐の中に飛び込んで活路を見出す突撃型」といったところか。こういう違いも、集団が困難に見舞われたときに、種としての危機脱出確率を上げているんじゃないだろうか。

くつを履きたい時のサクラ

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こうやって「クック!」と言って手渡す。

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急いで履かせないと、ちょっとすねる(笑)

マリアビートル

マリアビートル
久しぶりに読む伊坂幸太郎。徹夜小説だった『グラスホッパー』の続編のようなものだが、前著ほどの興奮はなかった。そのかわり、今回はアクションシーンに独特の面白みを感じられた。読み終えた感想は、それなりに面白かった。映画化されたら、この格闘シーンなどをどう演出するか観てみたい。というか、俺が演出を手掛けてみたい。

蔵書決定。