2013年6月30日

島ドライブ(2)

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昼食は、夜は居酒屋をやっているという店で。

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もちろんジッとはしていない。

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交通的には平和です。

2013年6月29日

昨夜も寝かしつけに成功

二日連続、パパによる寝かしつけに成功した。今夜は病院のイベントがあるので寝かしつけはできないが、二日連続はちょっと自信がついて嬉しかった。

今朝は5時くらいから起き出して、最初は妻が遊んで二度寝させようとしていたがギブアップして寝床に戻り、俺が交代して遊ぶことになった。最初はビデオのアンパンマンを観ていたが、外がも明るいので抱っこひもで庭に出て太郎を散歩させた。それからサクラに靴をはかせて、二人と一匹で少し遊んだ。部屋に戻って、6時半くらいから朝ごはんを食べさせて、それからまたテレビをつけてアンパンマン(我が家では食事時はテレビはオフ)。しばらくすると今度はノートへの落書きを楽しみ始め、そこに妻が描いたコッシーを見て、
「コッコ、コッコ!」
と言ってテレビを指差した。これはきっとコッシーを観たいんだなと判断し、録画している「みぃつけた、サン」を再生。笑って喜ぶサクラ。言葉はまだ未熟だけど意思疎通ができたことが嬉しい俺。そうこうするうちに、寝転がっている俺の隣にゴロリと転がってきて、しばらく一緒にテレビを観ていたらサクラがウトウト、そしてついに就寝。いま7時30分。8時くらいには起こす予定。

まだまだ一日のリズムがうまくとりきれていないサクラであった。

島ドライブ(1)

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平成25年5月26日、家族三人で島をドライブした。

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人間がいなくなったら、ビルや東京タワー、スカイツリーなんかにも、きっとこうやって自然がどんどん覆いかぶさってくるんだろう。

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すぐ近くに鹿供養塔があった。よく車と衝突して死ぬらしいのだが、車も大破してしまうらしい。また鹿は林業にとって害獣でもある。鹿が角でマーキングした樹木はそこから枯れてしまい売り物にならないのだ。だから猟銃による駆除もされている。

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供養塔を見つめるサクラ。

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子どもには、大人に見えないものが見えると言う。もしかしたら、何かを見るか感じるかしているのかもしれない、そんな表情。

あした咲く蕾

あした咲く蕾
面白かった。こういう感じの短編であればいくらでも読みたいと思う、そんなよくまとまった一冊。

2013年6月28日

引きこもりと人間関係オンチ

「音痴」というのは、音に対する感覚の鈍い人のことを指す。派生語として運動音痴や方向音痴、機械音痴などがある。いずれも音とは関係ないが漢字の「音」が入り、少し違和感があるので、音に関するもの以外をここでは「オンチ」と表記する。

音痴には「運動性」と「感受性」の二種類があるらしい。運動性の場合、正しい音を聞きとれているのに、発声の段階で咽喉の筋肉の使い方がうまくいかずに音がずれてしまう。感受性の場合、そもそも正しい音を聞きとれていない。また感受性音痴の場合、自分がズレた音を出しているという認識もないため、音痴の矯正は運動性のほうがはるかに容易らしい。

運動オンチは、自分の手足を動かすことや、他のプレイヤーとの位置関係の把握が苦手で、方向オンチは自分の位置を周囲の環境から把握できない。このように、オンチは全般的に「何かの位置を把握して、それを適切な位置まで動かす」という一連の動きにバランスを欠いた状態だ。これを運動性と感受性に分けて考えると、位置の把握が下手な場合が感受性、適切な位置に動かすのが苦手な場合が運動性になる。

ここで人間関係オンチというものを考えると、これにもやはり運動性と感受性の二種類がありそうだ。他者との関係性における自分の立ち位置は分かっているけれど、どんな会話をしたり振る舞ったりすれば良いのか分からないというのが運動性で、自分は上手くやっていると確信しているが周囲は非常に困惑している場合が感受性だ(どちらがどの疾患というようなことは書かないでおく)。

音痴の矯正で感受性よりも運動性が容易だったのと同じように、人間関係オンチにまつわるあれこれで悩んで精神科に来る人も、運動性のほうが治療が容易なのだろうか。あれこれ考えてみると、重度の感受性タイプ人間関係オンチの人は、自分の対人関係に悩むことも、周囲の困惑に気づくことも少ないだろうから、診察には滅多に来ないような気がする(家族が無理やり連れてくることはあるかもしれない)。

人間関係オンチが高じて引きこもってしまう場合も、周囲との摩擦に耐えきれず引きこもる運動性オンチの人と、そういう摩擦とは無縁のまま引きこもる感受性オンチの人がいるだろう。前者は部屋でパソコンやケータイをいじって間接的な対人関係は保ちながら過ごし、後者はそれらにさえ興味を示さない。これはどちらが治療しやすいかというと、診察室に来た場合に限って言うなら、後者の方が薬への感受性が高くて回復しやすいかもしれない(もちろん、患者・疾患それぞれで違うだろうが)。

運動性の人間関係オンチの場合、音痴の矯正と同じで、薬による治療よりは、社会技能訓練や対人関係訓練などのほうが根治的であろう。その訓練を支えるために薬を用いることはあり得るにしても、薬だけでどうにかなる問題ではない(ただし、重度の社交不安障害などには抗うつ薬が根治的なことも多い)。そして世の中のあらゆる訓練がそうであるように、社会技能・対人関係訓練も本人の根気と時間を必要とする。訓練そのものはカウンセラーや心理士が専門になることが多いだろうから、精神科医としては、いかにして訓練へのモチベーションを維持させるかが大切になるだろう。

ヨーグルト娘 ~寝かしつけに成功~

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昨夜は10時に抱っこひもを使って、夜の田舎道をウロウロすること15分。寝たのを確認して家に帰り、より深い眠りに落とすために抱っこしたまま、本を読みながら立ってユラユラすることさらに20分。

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ついにパパだけの寝かしつけに成功したのである!! 
歩き始める前には抱っこで寝かしつけたこともあるけれど、最近はずっと添い乳寝かしつけだったので嬉しかった。ちょっと自信もついたぞ。

スウェーデン式 アイデア・ブック

スウェーデン式 アイデア・ブック

あっという間に読み終えるが、俺にとっては1000円分の価値があった。病棟看護師に貸して、今後の病棟看護に活かしてもらえるのではないかとも思う。

2013年6月27日

イジメの深刻化を防ぐために

ツイッター上でキチガイじみた人から非常にしつこく絡まれたことがある。その人の取り巻きのような人たちからも攻撃を受け、なるほどこれがイジメの構造か、と思ったものだ。皮肉なことに、そこで話題となっていたのはイジメ問題で、加害者の厳罰化や実名公表、家族に追い打ちをかけるようなことなどは慎重にすべきだという俺に対して、「イジメ加害者に情けは無用!」という人たちが徒党を組んで俺を攻撃するという、なかなかシャレのきいたイジメ構造を創りあげたのだった。

そのときに感じたのが、イジメ問題を考える時には加害者・被害者だけに注目するのではなく、もっと「傍観者」に目を向けても良いのではないか、ということ。傍観する人の心理をもっと研究して、どうしたら「傍観者」から「介入者」になれるのかを模索する方が、イジメの深刻化を防ぐのに有効だと思う。

「個人vs群れ」という状況に外部からうまく介入する方法をもっと模索するのだ。これは、ただ単に個人に味方をすれば良いという話でもない。例えばツイッターによる攻撃では、俺に味方をしてくれる人が現れたが、今度はその人たちも攻撃対象になり、結局は「個人vs群れ」の構造が複数できただけだった。現実のイジメも同様だろう。

攻撃を受ける個人がうまく群れを作ることができれば「群れvs群れ」になるわけだが、それも結局は強いほうが勝つという図式からは抜け出せていない。最終的には、負けた方がイジメられるのだ。その負けてイジメられるのが元・加害者かもしれず、それを「自業自得だ」と言う人たちには絶対にイジメをなくせない。

いや、そもそもイジメをなくそうとすること自体が無理なのかもしれない。養護学校に入学した脳性マヒ者が、最重度の障害者であったため、その学校の中でイジメにあったという。同級生は、こんなことを言っていた。
「僕らは普通校でいっぱいいじめられてきたから、いじめ返さな」
(参考:カニは横に歩く 自立障害者たちの半世紀
ここからも分かるように、少しでも優位なものが、少しでも弱いものを攻撃するのは、どこに行っても同じなのだ。かつてブルーハーツは歌の中で「弱い者たちが夕暮れ、さらに弱いものを叩く」と鋭く指摘した。

イジメはなくなるのが理想だが、それは他の多くの理想がそうであるように、幻想に近い。それよりは、イジメを深刻化させないための方法を考えるほうが良い。その一つが、傍観者が善き介入者になることであり、そのためにはどういう方法があるのかを研究していくべきなのだ。

ブロロローン!!

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断乳を決行するため、昨日は妻と二人、交代でサクラを抱っこして夜道を歩いた。ようやく寝たと思い寝床に戻って下ろした途端、目がパチリ……、あっ、あぁ……。その後、妻が抱っこして、
「寝てていいよ……」
の言葉に甘え撃沈。断乳って難しい。

顔 FACE

顔 FACE
横山秀夫のいわゆる『D県警シリーズ』を立て続けに3冊読んでみたが、その中では最も感情移入できずストーリーにも入り込めなかった。それはひとえに、主人公である婦警の考え方というか姿勢というか、そういうものに共感できるところが少なかったからだ。主人公が一生懸命なのは分かるけれど、それってどうなのよ……、みたいなことが多すぎた。それでも、それなりに面白かったのが横山秀夫の凄いところか。
このあたり、実際の婦警さんで読んだ方の意見を聞いてみたい。もちろんあくまで警察「小説」なので細かいツッコミは多いとは思うが。

2013年6月26日

人を責める基準

何が良いとか悪いとかの話ではなく、ふと気になったのでメモ程度に。

病院内での傍若無人な行動を書いた県議のブログはひどかった。俺は直接ブログに攻撃こそしなかったが、mixi呟きやツイッターで意見を書いたと思う。そんな騒動の挙げ句、その県議は自殺してしまった。炎上拡散の責任の一端は自分にもあると思う。この結果を受けて、「やりすぎだ」「いや自業自得だ」という意見が出ている。

さて、目を転じて、辛坊氏の遭難事故。これについても、「自己責任で、なぜ税金で救助を?」という疑問から、「自己責任であっても海難救助は税金でやるのが当たり前」といった意見まであって、どちらもそれなりに共感できる意見ではある(個人的には税金での救助で良いと思うが)。ところが、それ以外にも凄い意見があって、曰く、
「中川昭一が酩酊会見を開いた時に、辛坊は某番組で『あんなものはね、自殺すればいいと思いますよ』と言い放ち、結果として中川氏は自殺した。辛坊も自殺すれば良いのだ」
とのこと。ちなみに、この部分は放送自粛音により放送されなかったらしく、またウィキペヂアから引用している人が多かったが、現在その部分は削除されていて真偽不明だ。なぜ放送自粛で消されていた部分を皆が知りえたのかと考えると、ガセの臭いもプンプンするが、ソース不明の今となっては真相は闇の中だ。

中川氏を自殺に追いやった(ただし自殺したというのは世間の思い込みのようで、実際には自殺かどうかは不明とのこと)最大の要因は決して辛坊氏ではないと思うし、上記発言の真偽もともかくとして、自殺した県議への攻撃と辛坊氏への攻撃の両方に参加している人がいるんじゃないかという気がして、そういう人たちが自己矛盾に気がついているのかが気になった。

辛坊氏が中川氏に対して「自殺すれば良いのだ」と言ったことを取り上げて「お前も自殺しろ」と責める一方で、県議を吊し上げて自殺にまで追いつめている。やっていることは、(真実かどうかはさておき)「自殺すれば良い」と言った辛坊氏と同じではないだろうか。

もちろん、色々な人が多種多様な意見を持つのが当然だし、その意見が個人的な好き嫌いという感情に左右されるのも普通のことで、だから冒頭に書いたように何が良いとか悪いとかではないのだけれど、モヤッとしたものを感じてしまう一連の騒動であった。

やんちゃな食いしん坊

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動機

動機
相変わらず読みやすい。一日で読み終えてしまうくらいにボリュームは少ないのに、中身はハッとするくらいに研ぎ澄まされている。描写が少ないので好き嫌い分かれそうではあるが、俺は横山秀夫の小説の雰囲気は好きだ。

2013年6月25日

吉沢江津子 ~伊藤循環器内科診療所の人々~

伊藤循環器内科診療所のトイレは常に清潔に保たれている。それは従業員、すなわち看護師への教育がよく行き届いているからだ。吉沢江津子はトイレの入り口にある洗面所で手を洗いながら、そんなことを考えた。そして廊下を歩きながら、退院後にはアルバイトへの教育を徹底しなければとこぶしを握った。
「サービス業経営者に自己満足はあってはならない」
何かで読んだ経営論を小さくつぶやきながら江津子が自室の前に来ると、病室仲間三人の声が聞こえてきた。
「入院もこう長いとねぇ」
「ホント、私なんか家のことが心配になってきちゃって」
「分かるわぁ。うちの人なんか何もできやしないから」
江津子は家事がまったくできない夫の辰弘のことを思い出しながら部屋に入った。病室仲間三人が会話をやめて江津子のほうへ顔を向けた。江津子は大きく目を開きながら、
「私は、へそくりがばれやしないかって、そっちの方が心配で心配で、もういてもたってもいられやしないわ」
三人が吹き出して、それから大きく笑うのを聞きながら、江津子は窓際の自分のベッドへ行った。スリッパを脱ぎ、
「よっこいせ」
とベッドへ上がると、向かいのベッドにいる長沢タキさんと目が合った。長沢さんは数日前までは時々暗い顔をしていた。この前、自宅に帰って、それから表情が見違えるように明るくなっていた。さっきの冗談でも、長沢さんが一番よく笑っていた。
「江津子さん、年寄り臭いわよ、よっこいせなんて」
長沢さんが右手を振りながら言った。
「だってぇ、もう五十一歳ですもん」
江津子は首を振りながら肩をすくめた。
「あら、この病室では最年少よ」
長沢さん、そう言って眉を上げ笑った。江津子は長沢さんの顔を見ながら、
「それが恥ずかしいのよねぇ」
そう顔をしかめた。
「糖尿病と高血圧なんて、たいした病気でもないのに入院なんて、伊藤先生も大げさなんだから」
江津子がそう言うと、病室入り口側のベッドにいる江波ウタさんが大きく首を振って真剣な顔で、
「そうじゃないのよぉ。糖尿病も怖いのよぉ。なんでもね、ケトなんとかって言って、血がね、酸性になって死んじゃう人もいるらしいのよ。だから、この病室の皆、ちゃぁんと気をつけないと」
と言った。江津子が顔を上げて両手で握りこぶしをつくり、
「あのへそくり使わないうちに死んじゃうわけにはいかないわ。世話のかかる家族をほっぽりだして、ブラリ温泉一人旅のために貯めてるんだから」
と言うと、また病室の三人が笑った。
「あら、でも一度こちらに見えたときにお会いしたけど、息子さんも娘さんも可愛らしいじゃないの」
長沢さんがそう言うのを聞いて、江津子は大きく首を振った。
「とんでもないですよ、ほんとに。主人が頼りないうえに、息子は店を継ぐ気はない、東京に行くんだって言い張るし。娘は娘で家のことには無関心、受験で頭が一杯って感じで、私がどれだけ苦労してるかなんてお構いなし」
そこで一息ついて言う。
「はやりの家庭崩壊ってやつね」
病室の三人が笑った。
「江津子さん、いっつも面白い。漫才師みたい」
江波さんが前屈みになって笑った。江津子は右手を握りしめて高々と掲げ、
「だから、私はあの連中をほったらかして旅に出るのだぁ。あのお金だけは誰にも渡さないっ」
と大きめな声で言った。
「そうよそうよ。だからケトなんとかでお迎えが来ないように、先生の言いつけ守って、ちゃぁんと養生するのが一番よ」
江波さんの話を聞きながら頷いていた江津子は、病室の外に立っている夫の辰弘に気が付いた。
「あらっ。あなた、どうしたの」
驚いて少し声が大きくなってしまった。
「え、いや、元気にしてるかと思って。あ、皆さん、いつも家内がお世話になってます」
辰弘はそう言って、手に提げた果物かごをあげて見せた。病室の三人は笑顔で挨拶を返しはしたが、どこか微妙な表情をしている。江津子はそのことに気づき、すぐに大きな声で、
「もう、だめねぇ。私たちってみんな糖尿病よ。食事制限とかあるんだから、そんなに果物持って来られても食べられないわよ。ねぇ」
そう言って目を大きく見開き、病室の三人を見渡した。三人とも微笑んでいた。辰弘は困ったような顔をして果物かごを下ろした。
「まったく、これだから男ってダメよねぇ。いつまでたっても世間知らずっていうか、子どもっていうか」
辰弘が顔を赤くして頭をかきながら、江津子のベッドの所までやって来た。病室の三人が小さく笑っている。江津子は果物かごを受け取ると、
「でも、ありがとね。すーごく良い匂い。早く体調治して、こんな美味しいのを沢山食べたいわ。ほら、皆さんにも匂いのおすそ分けしてあげて。ほらほら」
そう言って江津子は果物かごを辰夫に渡し、両手を振って辰弘に病室三人のベッドを回らせた。三人とも大きく匂いを吸い込んでは、
「良いにおいねぇ」
「匂いだけでも美味しいわ」
などと言ってくれた。辰弘は顔を赤くしながらも、嬉しそうな顔をしている。江津子はガウンを羽織って辰弘の近くに行き、
「さ、ロビーでお話しましょ」
そのまま病室を出た。病室を出てすぐ右側に、小さなロビーがある。白い丸テーブルが二つ、それぞれ椅子が三脚ずつ、そして江津子の胸の高さくらいの小さな冷蔵庫がある。江津子は冷蔵庫を開け、中から黒ペンで『吉沢』と書かれたお茶のペットボトルを出した。冷蔵庫の上に置かれたコップを二つ取ってテーブルに置くと、ゆっくり椅子に腰掛けた。入院してから少し痩せたとはいえ、肥満していたせいで痛めた膝はまだちょっと痛かった。遅れてきた辰弘が江津子の向かいに座った。
「で、急にどうしたの。お店は大丈夫なの」
お茶を注ぎながらそう言って辰弘を見ると、辰弘は腕組して真剣な顔をしていた。
「どうしたの。なんかあった」
つい先ほどのへそくりの話を聞かれたのかと思い、江津子は動揺を見せまいと強めに聞いた。辰弘はお茶を一口飲んでコップを置くと、突然テーブルごしに手を伸ばして江津子の手を握り締めてきた。一瞬驚いて手をひいてしまったが、辰弘があまりに真剣な顔をしているので、そのままにした。結婚してからほとんど手をつないだことがなかっただけに、恥ずかしさで顔がかっと熱くなった。
(看護婦さんに見られませんように)
そんなことを考えている江津子とは対照的に、辰弘は真剣な顔のままだ。
「ねぇ、どうしたの。なんかあったの」
江津子がそう聞きながら辰弘を見ると、辰弘は顔を赤くしつつ、どこかしら涙目に見える。辰弘が握った手に力を込めた。
「お前、大丈夫なのか。も、もう十日も入院してるんだぞ。本当は、本当は大きな病気じゃないのか。俺に隠してるんじゃないか。孝一もメグも最近暗いし、も、もう、俺はお前のことが心配で心配で。なんか隠してることがあるんだったら、早く、早く言ってくれ。さっきの、ほら、ケトなんとかでお迎えがどうとかって、あれ、あれは何なんだ。ケトなんとかってガンなのか。もし、もしそうならさ、いや、そうじゃなくてもさ。と、とにかく、二人で、な、二人で過ごす時間が、過ごす時間が」
そう一気に言って辰弘は声を詰まらせた。辰弘は頭を下げて肩を震わせている。それを見ながら江津子は、へそくりがばれたわけじゃないという安堵と、呆れるやら嬉しいやらで笑い出してしまった。
「ど、どうしたんだ」
辰弘は驚き顔をしている。
「だって、糖尿病と高血圧よ、まぁどっちも病気には違いないけど。ちゃんと規則正しく生活すれば大丈夫。ケトなんとかもガンじゃないし」
「ほ、ほんとうか。ガンじゃないのか。隠してないのか。ぜ、絶対だな、絶対だな」
そう言って辰弘は握った手を振った。江津子は笑いすぎたのと嬉しかったのとで涙が出そうになった。
「大丈夫よ。あと十日もせずに退院できるから」
「よかったぁ」
そう言って辰弘は握った手の力を緩めた。
(この優しさと単純さに惚れたのかしらねぇ)
そう考えたら、江津子はまたおかしくなって笑ってしまった。江津子の笑い顔を見ながら、辰弘も照れたように笑う。
「実は、お前が重い病気だったら店をたたもうかと思ってたんだ」
その言葉を聞いた瞬間、江津子の表情が固まった。嬉しさよりも怒りの方が先に立った。
「あんた、そんなこと言って、孝一とメグの学費とかどうするつもりだったの」
「孝一はもう今年で大学卒業だし、だから自分で何とかするだろう。メグの分は定期の解約とかで何とかなるって」
「ばかっ。そんな簡単なことじゃないでしょう」
江津子が大きな声でそう言うと、辰弘は江津子の手を放して座りなおした。
「お、俺にだって考えがあったんだ。その、なんていうか、お前が病気になったのも俺のせいだって気がして。十年前に酒屋やめて二十四時間のコンビニにして、それから、ずっと忙しかっただろう。食事も生活も不規則になって、それでその、なんていうか」
辰弘が言いにくそうに口ごもる。
「肥った」
江津子がそう言うと、辰弘は再び話し始め、
「そ、そう。肥って病気になったのは、俺が店をコンビニにしたからかな、そんな気がして。もしかしたら重い病気かもしれないし、だったら、お前に良い思いさせずに死……」
そこで再び口ごもった。辰弘は最初の気持ちを思い出したのか、またうっすらと目に涙が浮かんでいる。
「死んだら」
江津子が辰弘を見ながら言った。
「うん。お前に良い思いさせずに死なれたら、俺絶対後悔するって思った」
江津子は辰弘の気持ちが嬉しかった。しかしすぐに、一生懸命にやってきた店を簡単にやめると言い出した辰弘に腹も立った。そして、やめると言い出した理由が自分のためだったことを思い出して、また目頭が熱くなってきた。
「ばかねぇ」

江津子は辰弘を見送った後、しばらくベッドでゆっくり過ごした。三時を過ぎた頃、果物かごを看護師のもとへ届けに行った。看護師と少し立ち話をしていると、
「あら」
と看護師が江津子の後ろを指差した。江津子が振り向くと、そこに息子の孝一が立っていた。
(あいかわらず汚いジーンズ。トレーナーもけばけばしい。まったくこの子は……)
と文句の一つも言おうと思ったが、せっかく見舞いに来てくれた息子を叱るのもかわいそうだと思いやめた。孝一に看護婦へ挨拶をさせると、二人でさっきと同じロビーへ行った。椅子に座った孝一は貧乏ゆすりをしている。江津子がお茶をついであげると、孝一はそれを一気に飲み干した。江津子は孝一の向かいに座り、少し低めの身長とがっしりした体格を見ながら、辰弘に似てきたと思った。
「就職活動はどうなの。良いトコに就職できそうなの」
江津子がそう尋ねると、孝一は貧乏ゆすりをやめてうつむいた。孝一はしばらく黙っていたが、ふと顔をあげて、
「母さん、俺、就職しないから」
「え」
余りに急な話の展開に、江津子はそれ以上言葉が出なかった。
「俺、コンビニ継ぐよ。卒業したらすぐにオヤジには引退してもらってさ、そんでもって俺が店まわすよ」
「あんた、そんなこと、急にできるわけないでしょう。それに、ずっと家の跡継ぐの嫌がってたじゃないの。東京で働くって言ってたじゃない」
「いや、いいんだ、それは、もう。継ぎたいんだよ、店」
そう言って孝一は黙り込んだ。江津子はどうしたものかと考えた。孝一が店を継ぐと言ってくれたことは正直嬉しかった。しかし、あれほど嫌がってたのを急に心変わりしたと言われても、どうにも納得がいかなかった。
「本当は、何か理由があるんじゃないの」
江津子がそう聞くと、孝一は座りなおした。孝一の顔をは、いつものしまりのない顔はしておらず、江津子もめったに見たことのない真剣な顔だった。
「実は、母さんが入院してからオヤジがずっと元気ないんだよね。それ見てたらさ、もしかしてオヤジと母さんとで俺たちに何か隠し事してないかなって思ってさ。本当は悪い病気なんじゃないのかなって、心配になってきちゃって」
そう言って、孝一は声を詰まらせた。
「だから、オヤジには引退してもらって俺が跡を継げば、母さんとオヤジがいっぱい一緒に過ごせるし。俺もメグもさ、母さんとオヤジとそれぞれ一緒に過ごした時間は多いんだ。でも、母さんとオヤジは忙しかったからあんまり二人で過ごせてないでしょ、だから」
そこで孝一はグッと肩を張った。
「だから、俺が跡を継ぐよ」
孝一の顔は真剣だった。
「任せとけって。メグの学費だって俺が稼ぐし」
孝一がそう言って笑った。この笑顔は偽者だ、と江津子には分かっていた。自信がないとき、嘘をつくとき、孝一はこんな笑い方をするのだ。また涙が出そうになったが、そしたらこのお人よしの息子がますます自分を心配すると分かっていた。
「ばか。母ちゃんは死にゃしないよ。まったく縁起でもない。よしとくれ。糖尿病と高血圧。そんだけ。退院もあと十日でできるの。そんな心配は良いから、あんたはちゃんと自分の望みどおり就職しなさい」
そして、ため息をついた。
「ばかねぇ」

孝一が帰った後、江津子はしばらくベッドで横になって眠った。長沢さんの声で起きてみると、ベッドの横に娘の恵美が高校の制服を着て座っていた。夕日でカーテンが赤く染まっている。近くの教会で夕方の五時を知らせる鐘が鳴っていた。
「あら、学校帰り」
そう聞きながら起き上がり、恵美の顔をまじまじと見つめた。恵美は何か思いつめたような表情で下を向いている。
「ちょっと、待ってね」
ガウンを羽織ってベッドから降りようとすると、
「そのままで良いよ」
と恵美が江津子の肩を押しとどめた。
「体に負担かけさせたくないから」
「おおげさねぇ」
江津子がそう言っても恵美は聞かなかった。仕方なく江津子はその場で話をすることにした。
「どうしたの、急に。受験も近いし、勉強しないといけないんじゃないの」
「うん、そうなんだけど」
そう言ったまま恵美は黙ってしまった。
「何か相談があるんじゃないの」
恵美は下を向いたままだ。
「まったく、変な日だねぇ。お父さんもお兄ちゃんも急に来るし」
その言葉を聞いて、恵美が勢いよく顔を上げた。
「お兄ちゃん、なんか言ってた!?」
急に語気強く聞かれ、江津子は驚いた。そのまま黙っていると、恵美の方から話し出した。
「お兄ちゃんね、最近元気ないの。お父さんも。お兄ちゃんなんか、お店継ぐって言い出したんだよ。元気なくすくらいなら継ぐなんて言わなきゃ良いのにさ」
そこまで語気強く言った恵美は急に声を落とし、
「って、私も最初はそう思ってたんだけど」
そう言って、恵美が手を伸ばし江津子の手を握ってきた。
「お母さん、本当は重い病気なんじゃないの。そうなんでしょ。だからお父さんも元気ないし、お兄ちゃんだって」
再び語気強く言っていた恵美だが、そこで再び元気がなくなりうつむいてしまった。江津子がやれやれという思いで病気の説明をしようとすると、恵美が何かを振り切るように顔を上げた。
「わたし、受験するのやめようと思って」
「いや、あんた、それじゃ」
恵美の突然の話題に、そこから先の言葉が出なかった。
「私さ、店で働くよ。そしたら、ほら、お父さんとお母さん一緒に過ごす時間増えるでしょ。それに、お兄ちゃんだってさ、東京に就職できるかもしれないじゃん」
赤い目をして恵美は笑っていた。向かいのベッドの長沢さんが目頭を押さえるのが見えた。
(まったく、この家族は)
そう思った江津子は、恵美の涙目を見ながら、辰弘と孝一を思い出した。一人旅に使うはずのへそくりが家族四人で行く温泉旅行の資金に変わっていくのを感じながら、江津子は今度こそ涙を止められなかった。

ある日のサクラ

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陰の季節

陰の季節
警察小説というと、なんだか難しそうなイメージが湧くかもしれないが、横山秀夫の小説はとにかく文字数が少ない。読書に集中する時間がとれれば数時間で読み終えることができるはずだ。そして読後感が良い。文字数のわりに決して薄っぺらくない。描写はほとんどラノベに近いんだけれど、描かれる雰囲気がハードボイルドで、そのバランスが読んでいて心地いい。

まだ何冊か横山秀夫の積読があるので、それをぼちぼち読んでいくことにする。

2013年6月24日

精神科医のタイプとしての入院タイプ・外来タイプ

精神科患者は2つに分けられる。入院患者と外来患者だ。そして、精神科医も、好みや得手不得手で入院タイプと外来タイプがあると思う。

入院タイプは、病棟で一定数の患者と時間をかけて接し、時に一緒にのんびり過ごすのが好きなタイプで、イメージとしては昔ながらの精神科医といったところ。また外来タイプは、外来診察室にいて、一日に何十人もの予約患者や、新患や急患、予約外の患者らに目まぐるしく対応していくのが性に合っている。

たいていの病院は急性期も慢性期もみる必要があるし、そこではオールラウンドな動きや能力が求められ、入院・外来タイプをクリアカットに分けられるわけではないが、やはり医師のタイプは診療スタイルにかなり影響を及ぼすだろう。例えば、診察室と病棟にいる時間はきっとどちらかに偏るだろうし、時間だけの問題ではなく、気持ちとしても、入院と外来で天秤がきれいに釣り合っている医師はそう多くないと思う。

こういう医師のタイプは、きっと医師・患者の相性にも関係している。

俺自身は外来タイプだと思う。できれば入院させずに、外来でのやり取りを通じて患者や家族を納得させ満足に導きたい。もし入院させても、なるべく早期に退院させたい。そういえば、俺と相性の良い患者というと、これまで何度となく断薬による再発・増悪で入退院を繰り返していた大の入院嫌いな統合失調症患者が思い浮かぶ。きっとその人の入院嫌いと、外来タイプである俺の診療スタイルとがうまくマッチングしたのだと思う。

<関連>
治癒のかたち

トウモロコシを……

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俺が食べきれないものの代表格、トウモロコシ。甘くてジューシーなところが大嫌い。それを美味しそうに食べやがって~(笑)

朽ちていった命―被曝治療83日間の記録

朽ちていった命―被曝治療83日間の記録
重い……。俺にとっては今なお記憶に新しい事故(事件か?)だけれど、世間的にはそろそろ風化しているのかもしれない。福島原発がまだまだ問題視されている今だからこそ、こういう本を読んで放射線被曝の怖さを改めて認識するというのは大事かもしれない。

本書中、バラバラになった染色体の写真がある。まさに「粉砕」という感じだ。ほとんどの体細胞がこの状態になっていたとしたら、もはや救命の望みはなかったであろう。延命治療、医療資源、家族の気持ち、医療者の心。そういったものをあれこれ考えさせられる一冊だった。

2013年6月22日

もしもーし!!

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「ご用件をどうぞ~」

2013年6月21日

オムツのマナーからいろいろ考えた

ある日、病院の個室トイレに入ると、床に無造作にオムツが投げ捨ててあった。オムツの感じからして子ども用ではなく、大人が自分か家族のオムツを捨てたという感じだ。当院のトイレには洗面台近くにゴミ箱がないので、捨て場所に困ったのだろうか。そこで、以下のツイートをした。
すると、これに対して、以下の返事を頂いた。
これを読んで、「なるほど!」と思った。オムツを持ち帰るのがマナーということに対してではない。それは子育て中なのでもちろん知っている。妙に納得したポイントは2つある。

1.「オムツは持ち帰る」というマナーを知らない世代や人はいるはずだ。
これは説明不要だろう。

2.最初のツイートで、俺と「♪ゆみこ♪」さんが頭で思い描くオムツが違っていた。
今回の一番の納得ポイントはここだ。俺は目の前のオムツを見て、大人用のオムツだと判断し、そういうものをポイッとする人がいるから汚物入れを置いて欲しいな、と考えた。これに対し、「♪ゆみこ♪」さんは「男性用トイレで子どものオムツを換えた人」を想像したのだと思う。

誰かと話す時、この「頭の中のイメージの違い」を意識することは凄く大切だ。意識しなければ、違いに気づかないまま通り過ぎて、その小さな誤解から諍いが生まれることもある。

最終的なまとめとしては、以下のツイートをした。


※こういう些細なことに気づくこと、そして考えることは、自然と患者・家族説明の上達につながる。

<関連>
患者・家族への説明が上手くなるトレーニング

ワイルドな不良か(笑)

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悪そなやつはだいたいトモダチ。

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なんちゃって。

ひきこもりはなぜ「治る」のか?

ひきこもりはなぜ「治る」のか?:精神分析的アプローチ
前半がひきこもりに関する精神分析についてで、後半が実践編。面白かったけれど、分かりやすさで言えば『社会的ひきこもり―終わらない思春期』のほうが断然良い。ただ、治療者としてどうあるべきかという点に関しては、このブログにも書いたことのあるような内容がちらほら出てきて、非常に共感できることが多かった。

2013年6月20日

薬はイヤイヤ飲んでも効かない

うつ状態や不眠で精神科に来る人は多いが、その中には薬を飲むことに抵抗がある人も結構多い。そういう時、ある程度は薬の必要性を説明した後に、それでも飲みたくないという人には薬を処方しないことがある。信じて飲めば砂糖でも効くということが医療にはある。そして、その逆、つまり嫌々飲んでもあまり効かないどころか副作用だけ出る、ということもある。

脳に影響する物質で身近なものにアルコールがあるが、酒だって「酔ってはいけない」場面ではある程度は体が「酔いを受けつけない」。友人同士、あるいは独りのほうが酔いやすいというのは感じたことがある人も多いのではないだろうか。

体は思いのほか抵抗するものなのだ。侮ってはいけない。

雨の日も素敵さ

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梅雨も楽しい人生の一コマ。

検察が危ない

県議の叔父が逮捕された。容疑は「政治資金規正法違反」。政治資金の収支報告書に虚偽記載したことが理由だが、その金額はたったの2100万円だ。

ということを、もしここで書いたとしたら、
「なにがたったの2100万円だ! 大金だろ!!」
と思われるに違いないし、俺も大金だと思う。

ちなみに県議の叔父は、身内から見ても真っ白で、そういう汚職関係には縁がないか、あったとしても知らない間に利用されているか巻き込まれているかだろう。それはそれでどうかと思うが……。

検察が危ない

予想・期待していた内容とは違っていたため斜め読み。ただ本書で気になったのが、「僅か2100万円」という部分。元検察官が書いた本だが、この「僅か2100万円」というところに庶民感覚とのかい離を感じる。そこは「僅か」など付け足さなくても良かったのでは……。言っていることは正しいような気もするが、この一言で距離を感じてしまった。

2013年6月19日

精神科の「パニック発作」と一般に言う「パニック」は違う

問診票に「パニックになる」とある場合、それが本当のパニック発作であることは多くない。精神科での「パニック発作」と一般用語での「パニックになる」は違う。パニック発作はWikipediaから抜粋引用すると、
発作は、満員電車などの人が混雑している閉鎖的な狭い空間、車道や広場などを歩行中に突然、強いストレスを覚え、動悸、息切れ、めまい、強烈な不安感に襲われる。漠然とした不安と空間の圧迫感や動悸、呼吸困難等で、「倒れて死ぬのではないか?」などの恐怖感を覚える人が少なくない。先に挙げた自律神経症状以外にも手足のしびれやけいれん、吐き気、胸部圧迫のような息苦しさなどがある。
一方で、一般の人が使う「パニック」は、いわゆる「パニック映画」「パニくる」などと使われるときのイメージである。「パニックになる」という患者に具体的に話を聞くと、パニック発作ではないことが多い。例えば、
「恋人や家族とケンカした時に半狂乱状態で泣き叫んでしまう」
「店でレジ打ちをしていて、間違えて客からクレームが来ると頭が真っ白になる」
といったことをパニック発作だと思っている人が少なからずいる。だから、患者が「パニックになる」と言っても、その具体的な内容を聞くことは大切だ。

ところが、患者の中には、
「前にかかっていた病院でパニック障害と診断されました」
という人が時々いて、症状を聞くと、
「どうしてパニック障害という診断になったのだろう?」
と疑問に思うことがある。具体的な聞き取りをせず、患者の「言葉そのもの」をもとに診断したんじゃないだろうかと疑ってしまう。「幻聴があります」という患者をみてすぐに統合失調症と診断をする医師もいるくらいだから。

医師には「後医は名医」という実に教訓的な言葉がある。後からみる医師は、前医の治療を参考にできる(診断が違うかもとか、今の薬が効いていないとかの情報も含めて)ので、前医よりも治療が成功する可能性が高いということだ。その言葉を念頭においてもなお、やはり前医が手抜き診断・治療をしたと思えるケースがある。そういう時には「誤診ですね」などと言わず、
「前医の時にはそういう病気の状態だったのかもしれませんが、そちらに関してはだんだん治ってきています。今はむしろこういう点が問題だと思います」
という感じで、治療の方向性を少し変えるようにしている。

掃除のお手伝い

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「上手にできたでしょ?」

天使の囀り

天使の囀り
怖くてグロい。読後感は悪くはないものの、途中で何度となく鳥肌が……。活字によるグロに対する耐性のない人はやめておいた方が良い。逆に、活字からは映像をイメージするのが苦手な人は大丈夫だろう、けれど、そういう人は本を読まないか(笑)
怖くてグロいのが好きな人にお勧め!

2013年6月18日

縁側ヨチヨチ

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ようやく下の歯が二本はえてきた。のは良いとして、ちょっと歯並びが悪い。でもこの時期の歯並びはあまり心配しなくて良いということなので様子観察中。サクラは歯磨き好きなので助かっている。

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最近は、太郎を見て「ンワンワ」と言う。「ワンワン」が上手く発音できないのかもしれない。ライオンの絵を見ても「ンワンワ」。「ン」が最初にくるなんて、アフリカの言葉みたい(笑)

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シマジロウが好きで、大人向けの子育て本の中にシマジロウの姿を見つけると、
「おった!」
と指さす。またNHKの『みぃつけた』が好きで、コッシーを見ると、
「おった! コッコ(コッシーのこと)」
と言って、やはり指さす。

良いぞ良いぞ、言葉をどんどん覚えてくれ。ところで……、犬もシマジロウも言葉を覚えて指さすのに、「パパ」「ママ」はまだかい?(笑) きっと家の中でそう呼び合わないからだろうと思って、昨日から夫婦で、
「パパー!」
「はーい!」
「ママー!」
「はーい!」
と大きな声で呼びかけては応える遊びをしている。

幸せになるほど不安

境界型人格障害の人の根底には、幸せに対する得体の知れない不安・恐怖がある。それは、不安定の中でしか得られない安心感と言っても良い。もしかすると、不安とか恐怖とか安心感とか、そういう言葉にできるような感情ではなく、もっと未熟な「~よりマシ」の感覚のほうが強いのかもしれない。

彼らは、不幸せだから手首を切ったりODしたりするばかりではない。傍から見ると、わりと穏やかな良い環境にいると思っていたのに、なぜかリストカットやODをして救急外来に来ることがある。

「こんな状況がいつまでも続くわけがない。いつか誰かに壊されて嫌な思いをするかもしれない。だったらいっそのこと自分の手で壊した方が“マシ”」

こういう感覚があるのかもしれないし、ないのかもしれない。いずれにしても、医療者や家族が濃くもなく薄くもない、近すぎず遠すぎず、関係性において一定の濃度と距離を保ち続けることは、彼らにとってある種の安心感を与えると思う。

モンスター

モンスター
小中高とモテないまま過ごし、初めて恋人ができたのは20歳だった。それから後もモテたという記憶はそうなく、しかし研修医になってからはそれなりにモテたと思う。女性は正直だ。そんなことを思った。

本書はあまりに不細工な女性が主人公。そんな彼女の人生を描いた物語で、ところどころ「ん!?」と思う部分はあったものの、それなりに楽しく読めた。非常に評判の良い作家ではあるが、俺の中では保留状態。あと何冊か読んでみる予定。

2013年6月17日

お互い様と他人事の狭間で

時どき、忘れられない患者の一言というのがある。

統合失調症の20代男性は作業所へ通っている。そんな彼がこんなことを言っていた。

「中学校とか高校の時に、あそこに通っている人たちに向かって『キチガイ』とか『狂ってる』とか言ってからかってた。あんなところに通うようになったら人生おしまいだと思ってた」

そこで、ちょっと間をおいて、

「まさか、いまじゃ自分が通うようになるなんて……」

これは、彼だけでなく、世の中のほとんどの人たちが持っている「他人事」という感覚だと思う。こういう「他人事感覚」がまったくないと、人生というのは生きづらい。一方で、俺は「お互い様」という言葉が好きだが、何でもかんでも「お互い様」と言い合っていては、だらけきった社会になってしまうような気がする。「お互い様」と「他人事」はある程度バランスが取れているほうが良い。

改正道交法が成立したというニュースを見ながら、そんなことを考えた。







改正道交法が成立 病状虚偽申告に罰則、自転車新規定も
朝日新聞デジタル 6月7日(金)
運転に支障がある病状を虚偽申告して運転免許を取得・更新することに罰則を設ける規定などを盛り込んだ改正道路交通法が7日、衆院本会議で可決、成立した。無免許運転などの罰則も引き上げられる。公布後、半年から2年以内に順次施行される。
てんかんや統合失調症、そううつ病などで発作を起こしたり意識を失ったりする症状があるにもかかわらず、隠して免許の取得や更新をした人に「懲役1年以下か罰金30万円以下」の罰則を定めた。医師が診察結果を公安委員会に通報できる制度も設けた。
無免許運転の罰則は、現在の「懲役1年以下か罰金30万円以下」から「懲役3年以下か罰金50万円以下」に引き上げた。無免許とわかっている相手に車を貸す行為にも運転者と同じ罰則、無免許運転の車への同乗に「懲役2年以下か罰金30万円以下」の罰則を設ける。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130607-00000036-asahi-pol

タンポポで戯れる

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自殺って言えなかった。

自殺って言えなかった。

自死遺族の方に勧めたい本。読んでいて辛くなることもあるかもしれないが、「一人じゃないんだよ」というメッセージに溢れている。こういう癒し方というのは当事者同士にしかできないことだ。遺族の方々には、どうかそういう団体があるということを知って頂きたい。

2013年6月16日

馬のいる触れ合いパーク

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これは馬じゃない。

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車でちょっと行ったところにある触れ合いパーク。なかなか良い。

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母娘で何を見つめているのかな?