2012年5月30日

永遠の仔

永遠の仔〈1〉再会
実際には単行本で読んだ。天童荒太を読むのはこれで5作目。本書の根底テーマとして児童虐待と老人介護があり、どちらも精神科医という仕事柄、わりと接する機会が多いので身につまされる部分が多かった。また、娘が生まれたことから、父としての視点で見つめたり、時には父母と自分との関係を思いながら子どもとしての立場で読み進めたりと、非常に読みごたえのある本だった。

一ヶ所だけ引用したい。
「ときどきこの世界って、親が大人とは限らないってことを、忘れるみたいね。子どものままでも、親になれるんだから。親ってだけで、子どものすべてを任せるのは、子どもに子どもを押しつけてる場合もあるのよ。子育ては競争じゃないって伝えるところが、どうしてないの。支える道も作らずに、未熟な親を責めるのは、間接的に子どもを叩いているのと同じかもしれないのに」
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