2011年12月25日

精神鑑定に携わる若手精神科医には特にお勧め! 一般の人からしても面白いはず!! 『ドキュメント 精神鑑定』


文句なく名著!!
であるにも関わらず、中古しか売ってないとはどういうことだ。

この本は、精神科医にとっては得るところ多く、一般人からしても面白い読み物であろう。自分自身、簡易精神鑑定書を3回作成したが、供述調書自体が非常に興味深い書物なのだ。だから、被疑者の家庭環境、学業・職業歴、犯行前後の行動や心理が記される精神鑑定書は、それだけで一冊の伝記の様相を呈することになる。なかなか精神鑑定書を目にする機会のない一般人や、精神鑑定を誤解している人に、ぜひとも一度読んでもらいたい本である。

新人の精神科医が精神鑑定に携わるとしたら、まずは簡易鑑定からだと思うが、それだって先輩の鑑定書を下敷きにして、指導を受けながらも手さぐりで書き上げることになる。この時、模範となる鑑定書をたくさん読みたくなるし、鑑定に関する考え方を教えて欲しくなる。だが、そういったことを系統的に教えてくれる先輩はあまりいないし、本も非常に少なく、あっても難解すぎることがほとんどだ。

そんな状況にあって、この本は読みやすく、かつ含蓄多いものであった。裁判所での受け答えの仕方、なんてものまでチラリと書いてあって面白い。

ちなみに、著者の林幸司先生は『精神鑑定実践マニュアル―臨床から法廷まで』という本も書かれている。こちらの方が、本書よりは少しだけ難解で、より専門家向けではある。そして、この本、アマゾンで(当時は)中古で1万2800円、なんと定価の3倍である!! 出版元に問い合わせたところ、編集者が俺のメールを林先生に伝えてくださって、喜ばれた林先生が、うちの病院まで本を送ってくださった(送料不要で本の定価のみ振込)。しかも裏表紙にはサインが(笑) ダメもとでもメールしてみて良かった。

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